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展覧会「アナキズム:友よ、樫の木の下は心地よい」(第12回「哲学の夕べ」)

展覧会「アナキズム:友よ、樫の木の下は心地よい」(第12回「哲学の夕べ」)

会期

2026年5月16日(土)~ 6月21日(日)
※5/16(土)15時~オープニング・レセプション

時間

火~木:11時~19時
金・日:11時~17時
土:11時~18時(5/30は「哲学の夕べ」開催のため22時まで)

休廊日

月曜・祝日

入場

無料

アナキズム:友よ、樫の木の下は心地よい

東京日仏学院主催による第12回「哲学の夕べ」の一環で開催する本展は、無秩序や暴力と同一視され、あるいは単なる反抗的態度として矮小化されるといったアナキズムのステレオタイプ的な見方から距離を取りつつ、その哲学および芸術実践を国家・資本主義・植民地主義・家父長制といった権力構造に対する批判の観点から捉える。さらに本展は、芸術を通じて、自律や相互扶助に基づき、権威主義に対抗する社会組織のあり方を問い直す。

 

本展はまた、アナキズム理論の内容を陳腐化する言説に異を唱えるとともに、無政府主義・社会主義的次元を排除するような歪められたアクティヴィズムの諸形態に疑問を呈する。 本展は、現代アートを解放・自己組織化・政治的実験の媒介として捉えるものである。文化的運動や異議の美学へと還元されることを拒みつつ、アナキズムの経験主義的性格を強調する。それは、支配の具体的経験、労働、そして共同闘争から生成される。アナキズムは帰納的な哲学であり、アナキストの運動への貢献は、制度的権力との直接的対峙から生まれる。

アナキズムの実践から、特異な政治思想が生まれ、最終的に逆説的なドクトリン、すなわちドクトリンの否定としてのドクトリンが形成される。アナキズムの根底には、自由と平等のあいだの還元不可能な均衡の探求が存在する。ゆえに、自由は平等の物質的条件なしには成立せず、また平等は、個人的および集団的自律を保持する社会的形態においてのみ実現されうる。 この観点において、芸術は社会世界の象徴的な図解として構想されるのではない。それは階級闘争に規定されつつ、むしろ抵抗と共有の実践が展開されうる実験の場を生成する。

本展は、現代芸術活動を通じて、これらの思考がいかに今日の美学的領域において展開されているかを探究するものである。日本におけるアナキズムの美学を再考することを促しつつ、経済社会的批判と政治的想像力の感覚を研ぎ澄ますことを試みる。それらは、アナキズムの本質としての革命と切り離せない。アーティストは、権力と所有の関係、物質代謝の断絶、不可視の強制の諸形態、プロレタリアの記憶、さらには非階層的な集団的組織化の可能性を問い直す。 捕食・蓄積・価値増殖といった資本主義的かつファシズム的な論理に対抗しつつ、本展は周縁を中心に対峙させ、あえて渦中へと身を投じ、皮肉ではなく無産者、無政府主義者、そして芸術の労働者から搾取された剰余価値を奪い返すことを目指す。

「我々はまさに悪党である。万人に米を、万人に科学を、万人に労働を!さらに万人に独立と正義を!」そして芸術を!



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参加アーティスト:川口哩央、小宮りさ麻吏奈、「絶え間ない混沌」プロジェクト、田中 永峰 良佑+ARCHIVE、アリー・ツボタ、superString
キュレーション: アレクサンドル・タルバ、藤本裕美子

主催:東京日仏学院
共催:ゲバルト団体 
助成:笹川日仏財団

関連イベント:

  • 5月16日(土)15時:オープニングレセプション、川口哩央によるパフォーマンス 
  • 5月17日(日)15時:川口哩央によるパフォーマンス
  • 5月30日(土)13時〜19時:資本主義大破壊商店(「哲学の夕べ」)
  • 6月6日(土)参加作家による上映会

 

 

作品紹介

川口哩央《無 生 産》(パフォーマンス)

開催日:5月16日(土)・17日(日)15:00~
予約不要

労働の馬鹿々々しい反復行為、サボタージュ、怠け者、もう壊れているロボットは、見た目上で全てが重なり合う瞬間がある。生産性は空転する。無産であると措定されるのはなにゆえか。値段でもなく希少価値でもない生産への価値づけを。労働を模したパフォーマンスは、生産性の空虚さを訴えると同時に、生産性からの逃げ道も提示する。表現もまた生産である。空転した生産である。

アーティスト
川口哩央

特にパフォーマンスやそれの記録を基に再構成した作品を制作する。子宮のある身体、労働、国家などに関心がある。現在特に、「生産」をキーワードに、生まれること/産まれることについて考えている。

 

 

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小宮りさ麻吏奈《Flesh Pink》

実験細胞は、現在地球上で人間の手によってもっとも多く生み出されている生命のユニットの一つでありながら、多くは実験室を出ることなく破棄されている。つまり、「進歩」の名の下に人間の手で生み出されながらその生および死は不可視化され、未来に見える形での痕跡を残すことがない。資本新世の中で資本の「生産」に寄与しない存在は循環から切り離され、不可視化され、語りや声を否定される。そういった存在、「生産」に寄与しない存在を循環の中で可視化することは、クィア・ネクロポリティクス的な視点による抵抗となるのではないか。循環を通して、「語り」になる手前の、しかし存在の不可視化を拒否する「息」を反響させる。

 

《CLEAN LIFE》2025 Photo by Ujin Matsuo

アーティスト
小宮りさ麻吏奈

1992年アトランタ出身、東京在住。クィア的視座から浮かび上がる新たな時間論への関心から「新しい生殖・繁殖の方法を模索する」ことをテーマに、バイオテクノロジー、パフォーマンス、映像、インスタレーションなどメディアにとらわれず活動している。共同プロジェクトに「繁殖する庭」、クィア・フェミニズムアートプラットフォーム「FAQ?」など。また、既刊に「線場のひと・上/下」(リイド社)。

 

 

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「絶え間ない混沌」プロジェクト《絶え間ない混沌:イタドリをめぐる複数の物語》

「スコットランドに引っ越して間もない頃、近所の川辺で群生する植物を義父は「ジャパニーズ・ノットウィード」と呼んだ。ジャパニーズ?日本育ちの私も見たことがないその植物は、日本ではイタドリと呼ばれ、薬用や食用として親しまれてきたという。一方英国では、アスファルトを突き破るほどの生命力を持ち、駆除が義務付けられている。その際使われる「侵略的外来種」、「エイリアン」、「植民地化」といった言葉の暴力性を目の当たりにしたとき、移民であった私は特にイタドリにシンパシーを感じたのかもしれない。この植物の生態や歴史を辿り、創造的思考と実践を通じて、排除ではなく新しい視点で捉え、可能性を広げたい。これは人間と自然の関係を日常から見つめ直す試みなのだ。 」

アーティスト
「絶え間ない混沌」プロジェクト

「絶え間ない混沌」プロジェクト(2020-2023)は、坂本夏海(アーティスト)、フローレンス・ドワイヤー(アーティスト)、矢崎はるか(園芸家)、メイボン尚子(キュレーター)によるアートプロジェクト。当時スコットランドを拠点としていた4名が、日本から英国に辿り着き「侵略的外来種」となった植物イタドリをめぐり、各自の関心を持ち寄って新たな価値と可能性を探る協働リサーチである。

 

 

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田中 永峰 良佑+ARCHIVE《On my street, on your street わたしの路、あなたの路》

「2014年にはじめて「山谷」を訪れた私は、路上生活をしていた「西田さん」と出会った。2020年の再訪時には、街の景色は大きく変わり、映像作品に映した「西田さん」ももう見当たらなかった。2023年、美術制作にとどまらないかたちでこの街に深く関与するために、40年以上にわたり支援活動を続けている「山友会」が運営する山友荘の介護職員として働きはじめた。街は開発が進み、路上から人が消えていく。山谷の記憶というものが、刻一刻と失われていく。私は、それを残したいと思った。この街に暮らす人々が語る、記憶と歴史を記録したいと思った。※本展では、学術プロジェクト「ARCHIVE」との協働も行う。」

アーティスト
田中 永峰 良佑

1990年、香川県に生まれる。現在は、東京を拠点に活動。東京藝術大学大学院修了。社会や歴史によって客体化される他者を、そうであったかもしれない「私」として捉え直し、その可能性にかたちを与えることをテーマに制作する。本展に関連した主な展示に「泪の上で」(2014年。泪橋交差点⾓OKビル)、「オープン・スタジオ 2025–2026/11月」(2025年。TOKASレジデンシー)など。


ARCHIVE

思索と制作をめぐる言葉を再発見し、公共に共有する学術プロジェクト(代表:オカモトヒロヤ、岡村皓史、広本拓麻。構成員:17名)。文献のアーカイブ・出版のほかアーティストと共同活動を行う。展示・リサーチ等に「水の博物館」展(2025年。TOKAS本郷・東京都水道歴史館)、「武蔵野の見えない自然」(2026年。武蔵野プレイス)、「ARCUS オープンスタジオ(佐藤浩一)」(2025年。アーカススタジオ)。

 

 

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アリー・ツボタ《デッド・レター・ルーム》

《デッド・レター・ルーム》は、詩人であり原爆生存者でもある原民喜(1905–1951)との歴史横断的な往復書簡である。ここでは原が残した文学的アーカイブを、第二次世界大戦後の日本において米軍が構築した写真アーカイブと対置させ、検証する。本プロジェクトは、これら二つのアーカイブを蘇らせ、作家による一連のオリジナル写真、そしてプロジェクトの中心となる原と作家による架空の手紙のやり取りを通して、拡張する。それは原子爆弾による破壊を、米国の帝国主義的暴力の証として提示し、同時に惨事の後に待ち受ける記憶の政治に関するより広範な考察のための根拠とする。

アーティスト
アリー・ツボタ
 

アメリカ合衆国生まれ、在住。近代国家の歴史とアジア太平洋地域における人種の離散と同化に関心を寄せ、写真、映像、アーカイブ、テキストを組み合わせた作品を発表している。写真という特異な時間性を持つメディアを用いながら、ある人種がくぐり抜けてきた記憶をどのように目に見える形で再提示できるのかという課題に取り組む。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで写真の修士号を取得し、現在はパーソンズ・スクール・オブ・デザインで助教授を務める。

 

 

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superString《資本主義大破壊商店》

※開店日:5月30日(土)13時〜19時

 

「生きてから今まで浸かってきた資本主義の方法論を破壊されると脳みその一部まで破壊されたみたいな気がするかもしれへん。発する言葉の端々から日常生活の隅々まで、あらゆることの行動原理になってしまっとる。資本主義っていうのは、それぐらいこの身に染みてしまった悲しい近代の産物やな。けどそれだけで人間は生きている訳でもないんやわ。別に何かを新しく打ち立てるとかでなく、ただぶち壊してみるっていうのも、うちらはいいと思ってる。大破壊の跡に溜まった水溜まりのキラキラは、ダイヤモンドより輝いてるかもな!全身キラキラなって、夜の東京を駆け抜けてこや!」

アーティスト
superString

神戸を中心に活動するアートユニット。2022年結成。都市における4次元以上の世界を開拓しながら、資本社会における霊的存在を実践に取り入れている。2025年11月より、「Scrap and Unbuild 資本主義大破壊商店」というお店もやっている。

 

 

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第12回「哲学の夕べ」
アナキズム―権力の形態を再考する

5月30日のプログラム展覧会 |上映プログラム

 

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