couch「寓話の寓話」展

夏の子ども向けプログラムの一環として、アーティストデュオcouchによるインスタレーション作品を展示します。
展示作品:《寓話の寓話〈ヤマネコ〉》
《寓話の寓話(A fable of a fable)》は、スリット・アニメーション(ストライプ状のスリットを動かすことにより絵を動かす技法)によって、ものがたりを語る装置・空間を創出するプロジェクトです。古典的なスリット・アニメーションの技法に3Dプリンティングや超スローモーターなどの現代の技術を組み合わせ、ものがたりに満ちたひろやかな空間を、映像的高解像度ではなく絵画的高精細で実現しています。複数の自走スリットがドローイングの前をゆっくりと通過すると、いくつもの時空間が描かれたドローイングがばらばらに動き出します。ドローイングの内容は、グラデーションのように広がる、一方向ではない、枝分かれした時空を生き死にするヤマネコのものがたりです。始まりもなく、終わりもなく、複数の時空間でばらばらに様々なことが起こり、それでいて全体がつながっている。全体を眺め渡すだけでも、個別に起こっている事象を追いかけるだけでも、ものがたりそのものに辿り着けない。このものがたりの構造が、インスタレーションの物理的な構造と重なっています。
タイトルの《寓話の寓話(A fable of a fable)》には,「始まりも終わりもなく常に過程であり、構造全体の中心もなく、果てしないひろがりをもったひとつのものがたりを写し取ろうとした、あるひとつの小さくて私的な試み」という意味が込められています。
《寓話の寓話〈ヤマネコ〉》
2021-2025年
木材、紙にインクジェットプリント、OHPフィルムにインクジェットプリント、改造したプラレール、単三電池
サイズ可変
技術協力:やんツー
制作協力:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
助成:公益財団法人小笠原敏晶記念財団
会期
2025年7月12日(土)〜8月31日(日)
※休廊日:月曜・祝日、8月4日〜20日
時間
11時~18時30分(日曜は16時30分まで)
会場
東京日仏学院|ホール、リヴ・ドロワット
入場
無料
お問合せ
03-5206-2500(東京日仏学院)
アーティスト
couch(カウチ)

浅尾怜子・宮﨑大樹によるアーティストデュオ。ものづくりの初源的・発見的方法を検証する作品やプロジェクトを展開する。政治、経済、歴史のような巨大な事象に、個人がアートで働きかける方法を追求している。アートの技法、説話や寓話に連なる現実的背景をもとに、インスタレーションや映像作品を制作する。現在は特に、実証的な現実とものがたりの中間の領域に語らせる方法としてのアートを試みており、ものがたりを語るための装置あるいは空間の可能性を追求している。主な展覧会に、Taoyuan International Art Award(桃園市、台湾、2025年)、ifva festival(香港、2023年)、ICCキッズ・プログラム(東京、2022年)、WRO Media Art Biennale(ヴロツワフ、ポーランド、2019年)、Biennale Némo(パリ、フランス、2018年)、Festival Scopitone(ナント、フランス、2017年)などがある。デジタル・ショック賞2017(主催:アンスティチュ・フランセ日本)受賞。
ウェブサイト:https://couchdomain.com
