オリヴィエ・アサイヤス特集 2026 映画の現在形 ー第33回フランス映画祭関連企画
日程
2026年3月18日(水)~4月5日(日)
会場
東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金
一律1,100円、但しトーク付の回のみ1,500円(全席自由/入場はチケット番号順)
Peatixにて2025年3/4(水)17時より発売開始。
80年代末、『無秩序』で鮮烈なデビューを飾って以来、第33回フランス映画祭でお披露目される最新作『クレムリンの魔術師』に至るまで、オリヴィエ・アサイヤスは、フランス映画の枠や国境を軽やかに越境しながら、さまざまなスケールやジャンルに挑戦し、映画の“現在形”を探求し続けてきた。
思春期や青春期の終わりを迎え、それぞれの若者が選択を迫られる『冷たい水』、『8月の終わり、9月の初め』そして『5月の後』では、物語以上に、彼らの疾走する身体の運動と、その時代特有の空気が鮮やかに刻み込まれている。
マギー・チャンを迎え、サイレント活劇映画へのオマージュを捧げた『イルマ・ヴェップ』によって国際的評価を決定づけて以降、映画制作の現場、グローバル資本、テクノロジー、テロリズムといった、加速する世界の現実も重要な主題となっていく。「ドゥボール的アクション・ムーヴィー」とも称される『デーモンラヴァー』や『カルロス』では、国境を越えて拡散する欲望と暴力が、スリリングかつ批評的な視点から描き出された。
その一方で、アサイヤスの映画には、喪失を出発点としながらも、そこから何かが受け継がれていく瞬間へのまなざしが通底している。『感傷的な運命』や『夏時間の庭』、『アクトレス 女たちの舞台』では、記憶や経験が新たな時間へと手渡されていく過程が、静かに、しかし確かな強度をもって描かれる。
本特集では、その豊かなフィルモグラフィーを通して、時代とともに呼吸し続ける映画作家オリヴィエ・アサイヤスの全貌に迫る。ゲストを迎えたトークショーも予定。
《オリヴィエ・アサイヤス監督 上映作品》
*「 」の中はオリヴィエ・アサイヤス監督の言葉。
無秩序/ディスオーダー
1986年/フランス/91分/カラー/デジタル(4K修復版)
出演:ヴァデック・スタンチェック、アン=ジゼル・グラス、リュカ・ベルヴォー、レミ・マルタン
ロックバンドのメンバーであるイヴァン、アンヌ、アンリ。ある日、彼らは出来心から楽器を盗もうとする。しかしその愚かな企ては思わぬ悲劇へと転じ、誤って店の主人の命を奪ってしまう。事件は露見せず、警察に疑われることもない。だが、その日を境に、三人の運命は静かに、そして決定的に狂い始める。
アサイヤスの記念すべき長編一作目。「人生の様々なことに精一杯で、苦しみ、悩みながらも熱に浮かされているような、青春時代特有のロマンチックな気質の持つ暗さという意味で、これはフィルム・ノワールだ」
上映日:
イルマ・ヴェップ
フランス/1996年/98分/カラー/デジタル
出演:マギー・チャン/ジャン=ピエール・レオー/ナタリー・リシャール/ビュル・オジエ
現実とファンタジー、変遷する都市、映画の歴史……。引き裂かれ、揺れ動き、混沌とした場所を一人ボンテージに身を包んで徘徊するマギー・チャン。魔法のようなドキュメンタリーであると同時に、血が滴り落ちるフィクション。イルマ・ヴェップ(Irma Vep)とは、ルイ・フイヤード監督の連続活劇「吸血ギャング団」(1912)で活躍する女盗賊の名前であり、同作の原題“Les vampires”のアナグラムである。「マギーは、物語の中のマギーと自分を重ねあわせたいと望み、自分自身をこの映画の中のシチュエーションに置き、本能的にその状況に応じることを望んだ。自分の役が作り上げられていくにしたがって、自分自身に驚くこと、驚かされることを受け入れていった」

(C)1996 DACIA FILMS
上映日:
8月の終わり、9月の初め
1998年/フランス/112分/カラー/デジタル
出演:マチュー・アマルリック、フランソワ・クルーゼ、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ジャンヌ・バリバール
編集者のガブリエルは、長年付き合ったジェニーと別れ、アンヌと付き合い始める。そんな時、敬愛している友人の小説家が病で倒れる……。親しい者の死を前に、生き残った者たちは、それぞれどのようにその死を受け止め、新たな人生を生きていくか模索する。「現在において、絵画における印象派のような映画への道、方法を探していた。日常生活とアートの実践が同じひとつのものであり、互いが淀みなく流れ、循環し合っていくような道を。そしてマチュー・アマルリックやジャンヌ・バリバールという、ヌーヴェルヴァーグの偉大な俳優たちが持っていた現代性、知性、自然さを兼ね備えた存在と出会い、映画が始動し始めた」

上映日:
感傷的な運命
2000年/スイス=フランス/180分/カラー/35mm
出演:エマニュエル・ベアール、シャルル・ベルリング、イザベル・ユペール、ジュリー・ドパルデュー
ジャンとポリーヌが初めて出会った時、彼女はまだ二十歳、彼は牧師。厳格なプロテスタントの良識ある上流社会に取り巻かれながらも、二人の運命はひとつに重なり合っていく。20世紀初頭の作家ジャック・シャルドンの小説を映画化。「僕の心をつねに揺さぶってきたのは、時の移ろいであり、その中で人間関係がどのように生まれ、壊れていくのか、そして世界がどのように変化し、そこにいる者たちがいかに変化し、やがて物事が消えていくのかということだ。人生とは、それに価値があるか否かは別として、計り知れないほどの回り道を経て、最終的に自分自身へと立ち返る道のりなのだと思う」

上映日:
デーモンラヴァー Demonlover
2002年/フランス/120分/カラー/デジタル
出演:コニー・ニールセン、シャルル・ベルリング、クロエ・セヴィニー、ジーナ・ガーション
スパイであるディアーヌは、国際企業ヴァルフ・グループに侵入し、彼らの競争相手「デーモンラヴァー」との交渉を妨害しようとする。そのヴォルフ・グループは、3Dポルノ・アニメを製作する日本企業「東京アニメ」の買収の交渉を進めていた。ソニックユースが音楽を手掛けている。
「抽象的でコンセプチュアルなアイディアからスタートしたが、作品自体はもっと身体的で、具現化されてほしいと願った。僕にとって映画を作ることは、水の中に身を投じ、目の前のリスクを冒すことだ。映画におけるジャクソン・ポラック流の「アクション・ペインティング」的側面が好きだ」。

上映日:
クリーン Clean
2004年/フランス・イギリス・カナダ/111分/カラー/35mm
出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、ジャンヌ・バリバール
歌手としての成功を夢見るエミリーだったが、夫をドラッグの過剰摂取で亡くしてしまう。愛する人を亡くした哀しみの中、幼い息子も手放すことに…。6ヶ月後、エミリーはもう一度全てをやりなおそうと決意し、息子との絆を取り戻そうとする。マギー・チャンは、本作で第57回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞。「僕はマギーに、できるだけ落ち着き、抑制の効いた演技をしてほしいと伝えた。この映画では、感情は皮膚の下にひそみ、あからさまに表に出ることはない。本作が焦点を当てているのは、「悔い改めることの可能性」を観客がどこまで受け入れられるか、という点なのだ」

上映日:
夏時間の庭
出演:ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ
2008年/フランス/102分/カラー/35mm
パリ郊外。母エレーヌの誕生日を祝うため、画家である大叔父ポールのアトリエだった家に帰って来た3人の子供たち。陽光溢れる夏の庭での食事。楽しい時間にも関わらず、母はしきりに美術品の行く末を気にかけていた。それから1年後、エレーヌは静かにこの世を去る。フランスのオルセー美術館の設立20周年を記念して作られた三世代に渡る家族の年代記。アサイヤス自身の時間へのまなざしが多分に感じられる。

(C) 2008 MK2 SA-France 3 Cinema
上映日:
カルロス
2010年/フランス/第1部104分・第2部112分・第3部124分/カラー/DCP
出演:エドガー・ラミレス、アレクサンダー・シェアー、ノラ・ファン・ヴァルトシュテッテン
1970〜80年代に世界を震撼させた伝説のテロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス(通称カルロス)の半生を、史実や報道をもとに描いた超大作。複数の偽名と人生を使い分け、当時の国際政治の複雑な動きを横断していったカルロスとは一体何者だったのか? 複数の女性たちに愛され、彼女たちに守られながら逃走を続けた男の正体とは? 70年代の武装闘争は複数の国、文化の交差点で行われ、世界的な流れとなっていったが、そうした国際的な規模で起こった出来事、動きを見事に捉えながらも、親密な人間関係も繊細かつ官能的に描き上げたアサイヤスの頂点ともいえる作品。「カルロスの評価を下さないこと、それが私の最初の見解であり、それを貫いた。カルロスを正面から、彼の視点から描きたかった。それには出来事を並べていけば十分だと考えた。彼の人生にはまぎれもないドラマトゥルギーが秘められていて、脚本はひとりでにそこから生まれてくるからだ」

C)Film en Stock / CANAL+ / Photographe : Jean-Claude Moireau
第1部
ベネズエラの活動家イリッチ・ラミレス・サンチェスが暗 号名カルロスを名乗り、数多くの事件を起こしプロのテロリ ストにのし上がっていく過程を描いた第一部。日本赤軍に よるハーグの仏大使館襲撃の後方支援、オルリー空港で のイスラエル機砲撃、パリのトゥーリエ街における警官殺 害等、ハリウッドのアクション映画をしのぐ鮮烈な描写の連 続がみるものをテロリストの日常へ一気に引きずり込む。革 命を夢見る男の栄光はいつまで続くのか。

上映日:
第2部
銃と女を愛した孤独なテロリストの人生最高のクライ マックスが壮大なスケールで描かれる第二部。西独革命 細胞(RZ)、パレスチナ解放人民戦線(PFLP) の同士 たちと共にウィーンのOPEC 本部を襲撃、アラブ諸国の 代表団を人質に取るカルロス。関係者を飛行機で誘拐し アルジェリア、リビア、チュニジア各国で革命の正義を訴 える彼らに全世界のメディアが注目する。一躍ヒーローに なったカルロスだが栄光の瞬間が長く続かないことに彼は まだ気づいていなかった。

上映日:
3/20(金・祝)13:30 *上映後、オリヴィエ・アサイヤス監督と黒沢清監督のトークショーあり
第3部
米ソ冷戦の終結で世界秩序の変化が起こり、革命家と しての役割を大きく変貌させていくカルロスを描いた第三 部。シリアに守られ東ヨーロッパに拠点をもうけた彼らは莫 大な大金を動かし武器の密輸を行い、ヨーロッパにおける テロ黒幕として暗躍していたが、やがてベルリンの壁崩壊 と共に支援者を失い最果ての地スーダンへと逃れる。各 国の情報機関に終われ、酒と女に溺れていくカルロス。 テロリスト人生の終末が徐々に迫ってきていた。

上映日;
5月の後
2012年/フランス/122分/カラー/デジタル
出演:クレマン・メテイエ、ローラ・クレトン、キャロル・コンブ
1970年代初頭――まだ革命の余熱が街角にくすぶり、若者たちの胸の奥で理想が燻っていた時代。物語の中心にいるのは、時代の奔流に身を投じる高校生たち。イデオロギーの嵐のなかで揺れ動きながら、友情が試され、恋が芽生え、そして傷つく。それは政治的な目覚めの物語であると同時に、ひとりの人間が初めて他者を愛し、世界と向き合おうとする通過儀礼の物語でもあった。ヴェネツィア国際映画祭・脚本賞受賞。

(C)2011 MK2 SA / France 3 Cinema (C)Carole Bethuel
上映日:
アクトレス 女たちの舞台
フランス/2014年/124分/カラー/デジタル
出演:ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ、ラース・アイディンガー
十八歳のとき、マリア・エンダースは舞台で成功を収めた。
彼女が演じたのは、妖しい魅力をたたえた野心的な若い娘ジーグリッド。成熟した女性ヘレナを破滅へ――ついには自死へと追い込む役柄だった。それから二十年後、同じ戯曲への再出演が持ちかけられる。だが今度は、かつて追い詰められる側だったヘレナの役を打診されることに……。「ある風景における過去と現在の対峙――それが私に着想を与えた。そこに刻み込もうとしたのは、ひとりの女優の喜劇、あるいは見る者の視点によっては悲劇である。彼女は自らの望みからではなく、職業上、あるいはむしろ道義的な責務に促されて、時の深淵へと身を乗り出す」

(C)2014 CG CINEMA – PALLAS FILM – CAB PRODUCTIONS – VORTEX SUTRA – ARTE France Cinema – ZDF/ARTE – ORANGE STUDIO – RTS RADIO TELEVISION SUISSE – SRG SSR
上映日:
イルマ・ヴェップ〈連続ドラマシリーズ〉 エピソード1話&2話
2022年/フランス・アメリカ/55分+52分/カラー/デジタル
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出演: アリシア・ヴィキャンデル、ヴァンサン・マケーニュ、ジャンヌ・バリバール、ラース・アイディンガー
アメリカでヒット作の撮影を終えた人気女優のミラは、フランスのサイレント映画『レ・ヴァンピール』のリメーク版で主役を務めるためパリへ渡る。ミラは危険な魅力を秘めた女性悪役「イルマ・ヴェップ」に入り込むうちに、次第に現実と映画の世界の境界が揺らいでくる。監督のルネやドイツ人俳優ゴットフリートらも撮影が進むにつれて映画製作の現実、フィクション、それぞれの人生の境界を彷徨っていた。「これは可視、不可視なもの、笑い、パラドックス、ドラマといった様々なテーマが展開する作品だ。そしてまた本作は、今日の映画の状況について何かを語っている映画でもある」

第1話 首のない死体
ハリウッドでブロックバスターに出演した人気女優のミラは、同作のプロモーションとともに、フランスのサイレント映画『レ・ヴァンピール』をリメークした連続テレビドラマ『イルマ・ヴェップ』で主役を務めるためにパリへ渡る。フランス映画界でその独特の作家性で評価されている監督のルネ・ヴィダルはルイ・フイヤード監督による連続活劇映画『レ・ヴァンピール』に心酔しており、原作への尊重から、時にプロデューサーや役者、スタッフたちと衝突することも。ルネは20年以上前に製作した映画版『イルマ・ヴェップ』に主演した香港スターのジェイドと恋に落ち、結婚するも、離れていった彼女への想いを断ち切れずにいた。ミラは映画公開の記念パーティで元恋人の女性、ローリーと再会する。ミラを捨て、彼女が出演した映画の監督の男性と結婚したローリーだが、思わせぶりな態度を取り、ミラは心を揺さぶられる…。ミラはローリーのことが気になりつつも、パリでの映画撮影を何とか進めていく。

第2話 殺しの指輪
<吸血鬼たち>を意味するレ・ヴァンピールと呼ばれるギャング団が出没する1910年代のパリ。ベル=エポックのこの美しい都会で繰り広げられる、不思議な犯罪の大長編絵物語『レ・ヴァンピール』。いよいよこのシリーズの見せ場のひとつ、「殺しの指輪」のシーンの撮影が行われる。そしてギャング団「レ・ヴァンピール」の宿敵の魔術師モレノを演じるため、ドイツから俳優ゴットフリートが登場。ミラは素行不良のゴットフリートを毛嫌いしながらも、既存のルールや概念を壊していくスタッフ・キャストたちは圧倒されていく。

上映日:
《オリヴィエ・アサイヤス 人生の一本》
たぶん悪魔が
1977年/フランス/カラー/デジタル/97分
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
出演:アントワーヌ・モニエ、ティナ・イリサリ、アンリ・ド・モーブラン、レティシア・カルカノ
ある青年が頭部に2発の銃弾を受けて死亡しているのが発見された。彼の名はシャルル。彼は友人たちと、環境汚染、浪費、飢餓、戦争など、世界を脅かすすべての問題について終わりのない議論を交わしていた。彼は仲間の中で最も急進的で、そして最も絶望していた。
「ブレッソンは、純粋な映画的恩寵の次元に身を置いている。この映画は驚くべきほど現代的な恩寵であり、反抗、急進性、詩、そして政治性によって刻印された作品だ。公開当時、10代でこの作品を観て、正面から衝撃を受けた。その発見のほとんど身体的ともいえる記憶は、僕に強烈な印象を残した」

© 1977 GAUMONT
上映日:
3/18(水)16:00 *上映後、オリヴィエ・アサイヤス監督とのディスカッションあり
オリヴィエ・アサイヤス特集2026 映画の現在形
第33回フランス映画祭 関連企画
主催:アンスティチュ・フランセ
助成:アンスティチュ・フランセ本部、CNC
特別協力:Unifrance, Vortex
フィルム提供及び協力:アレナ・フィルム、フィルム・アン・ストック、レ・フィルム・デュ・ロザンジュ、ゴーモン、HBO、マーメイド・フィルムズ、MK2、ザ・フィルム・エイジェンシー、トランスフォーマー、U-Next。
《第33回フランス映画祭 2026 開催情報》
■期間:2026年3⽉19⽇(⽊)~3⽉22⽇(⽇) 全4⽇間
■会場:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ユーロライブ
■チケット発売:
3月1日(日)午前8:00より電子チケットサービス「teket(テケト)」にて発売開始。
座席指定券2,200円(税込)
※3/19(木)舞台挨拶回のみ座席指定券:2,500円(税込)
詳細および注意事項は映画祭公式サイトをご確認ください。
主催 :ユニフランス
共催 :在日フランス大使館 アンスティチュ・フランセ
特別協賛 :アニエスべー
オフィシャルパートナー :東急ホテルズ
特別協⼒ :Bunkamura
協力:ユーロスペース、一般社団法人渋谷MICE協会、一般財団法人渋谷区観光協会
後援:渋谷区
公式HP :https://www.unifrance.jp/festival/2026/

