戦後80年ー日仏の交差する視線

日程
2025年10月3日(金)〜10月26日(日)
*詳細はおってお知らせします。
場所
東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金
一律1,100円(『悲しみと哀れみ』の回、トーク付上映は別料金となります)。チケットは9/19(金)正午よりPeatixにて発売。
第二次世界大戦終結から80年を迎える今年、映画史に刻まれ、戦争の見方や理解に変容を及ぼした優れた作品をフランス、日本、そして日仏共同製作作品から選りすぐりご紹介します。
フランスと日本は第二次世界大戦の当事国であり、両国とも戦争の残虐行為によって深い傷を負いました。映画はすぐにこの戦争を取り上げ、フランス側では集団的英雄主義を称賛し(『鉄路の斗い』ルネ・クレマン、1946年)、日本側では戦争の苦しみと悲劇を記録しました(『「きけわだつみの声 日本戦歿学生の手記』関川秀雄、1950年」)。
新しい世代の映画監督たちが登場して初めて、映画は、戦争と真正面から向き合うようになるでしょう。各々の国や観客はそれぞれの闇と向き合い、不透明な過去や曖昧な態度、罪深い沈黙について問いかけ始めます。
今回上映する映画を通して、第二次世界大戦そのものだけでなく、戦争へと至った経緯や、そこから生じたトラウマが浮かび上がってくるでしょう。そして何よりも、映画が潜在意識、さらには抑圧された感情を明らかにする力を持っていることが示されています。
本特集では、昨年5月に逝去したマルセル・オフェルスの傑作ドキュメンタリー『悲しみと哀れみ』を字幕付きで日本初上映します。1971年にフランスで公開された当時、この映画は深い衝撃を与え、フランス人の占領と戦争に対する見方を一変させ、歴史的な転換点となりました。『悲しみと哀れみ』は、アラン・レネの『夜と霧』(1956年)やクロード・ランズマンの『SHOAHショア』(1985年)と並び、フランスおよび世界のドキュメンタリー映画における必見の作品として認知されています。
オフェルスのドキュメンタリー的手法に呼応して、原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』(1987年)を上映します。この作品もまた、ドキュメンタリーという手法を用いて、ある国をその過去と向き合わせようとする作品です。
本特集では戦争中の女性の運命を描いた日仏の作品(『ヒロシマモナムール』、『春婦傳』、『主婦マリーのしたこと』)にもフォーカスを当てます。
上映のほか、歴史家、映画監督、映画研究者の方々をお迎えしたトークショーや講演会を開催し、第二次世界大戦、そしてそのスクリーン上での表現について幅広い視点を提示し、考察します。
【上映作品】
フランス作品 Films français
・『悲しみと哀れみ —占領下にあったフランスのとある街の記録』 マルセル・オフュルス (1969年)
・『ルシアンの青春 』 ルイ・マル (1974年)
・ 『ソビブル、1943年10月14日午後4時』 クロード・ランズマン(2001年)
・『主婦マリーがしたこと 4K版』 クロード・シャブロル (1988年)
日本作品 Films japonais
・『春婦傳』 鈴木清順 (1965年)
・『ゆきゆきて、神軍』 原一男(1987年)
日仏合作作品 Coproduction franco-japonaise
- 『ヒロシマモナムール』 アラン・レネ (1959年)
- 『ONODA ー一万夜を超えて』 アルチュール・アラリ(2021年)
【トークイベント登壇者】
・アルチュール・アラリ Arthur HARARI (『ONODA一万夜を超えて』監督)
・剣持久木 Hisaki KENMOCHI (静岡県立大学教授、歴史学者)
・ベルナール・サンドロンBernard CENDRON(『ONODA 30 ans seul en guerre』著者)
・木下千花 Chika KINOSHITA(京都大学大学院人間・環境学研究科教授、映画研究者)
・原一男 Kazuo HARA(『ゆきゆきて、神軍』 監督)