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クロード・シャブロル特集2026 女性形のサスペンス

クロード・シャブロル特集2026 女性形のサスペンス

日程

2026年1/16(金)、17(土)、18(日)、23(金)、24(土)、30(金)、31(土)、2/1(日)

場所

東京日仏学院エスパス・イマージュ

料金

一律1,100円 、但しスペシャル・プレミア上映、及びトーク付きの回のみ1,500円(全席自由/入場はチケット番号順)
Peatixにて2025年1/5(月)正午より発売開始。

ベルナデット・ラフォン、ステファーヌ・オードラン、イザベル・ユペール、サンドリーヌ・ボネール、マリー・トランティニャン、リュディヴィーヌ・サニエ……。クロード・シャブロルは男性中心で、保守的に膠着した世界に、女優たち、女たちを投じることで、そこに混乱と攪乱をもたらし、彼女たちとともに鮮烈なサスペンスを創り出してきました。シャブロルがステファン・オードランと共に生み出した3本の傑作『女鹿』、『不貞の女』、『肉屋』が4Kレストア版でロードショーするのを機に、トークイベント付きで特別先行上映します。その他にも、シャブロルが“女性を核に据えた”名作を厳選した7本を特別上映。極上の「女性形のサスペンス」の世界をじっくりとご堪能ください。

 

「私たちはいまだに男性的、ほとんどマッチョと言っていいような世界に生きています。だからこそ、女性は男性よりも興味深いのです。日常の中にいる女性は、それだけで真の主題になるし、奇妙で、犯罪的で、謎めいた女性は“主題そのもの”になります」クロード・シャブロル

 

「シャブロルは善と悪というテーマに関心を持ち、人間の運命に悪の根源がどのように現れるかを生涯にわたって考察し続けました。(…)シャブロルはフェミニストであるとともに、それを超えて人間を深く洞察するヒューマニストといえるでしょう」イザベル・ユペール

【トークゲスト】

  • 五所純子(文筆家) Junko GOSHO
  • エレーヌ・フラパ(小説家・映画批評家) Hélène Frappat
  • 三浦哲哉(映画研究・評論)Tetsuya MIURA

 

【作品紹介】

 

気のいい女たち Les Bonnes femmes            

(フランス/1960年/100分 /モノクロ/デジタル)

出演:ベルナデッド・ラフォン、クロチルド・ジョアーノ、ステファーヌ・オードラン、ルシール・サン・シモン

 

小さな家電屋で働く四人の若い女性たち。男たちの誘いに乗るジェーン、平凡な結婚を受けたリタ、秘密を抱えたジネット、大恋愛を夢見るジャクリーヌ──昼間には仕事の合間に談笑し、退勤後は夜のパリに繰り出す日々を送る女性たちの日常生活が、徐々に男性たちに侵犯され、やがてフェミサイドが引き起こされるまでの過程を、不穏で冷徹な眼差しでとらえた初期の傑作。

 

 

女鹿 Les Biches

(フランス/1968年/99分/カラー)

出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン=ルイ・トラティニャン、ジャクリーヌ・ササール

 

父の莫大な遺産で気ままな一人暮しをしている女性フレデリックは、晩秋のパリの街角で画家志望のホームレスの娘ホワイと出会いサン=トロペの別荘へ連れて行く。魅かれ合いながら自由な関係を築いていた二人のもとに建築家ポールが現れ、嫉妬や欺瞞が生まれる。支配者、被支配者であり、分身のようでもある、女ふたりの濃厚かつミステリアスな関係を軸に、映画そのものが愛と憎しみをむき出しにした強烈な蠱惑をはなつ、シャブロル“絶頂期”の傑作。

 

 

不貞の女 La Femme Infidèle

(フランス=イタリア/1969年/98分/カラー)

出演:ステファーヌ・オードラン、ミシェル・ブーケ、モーリス・ロネ

保険会社の重役のシャルルは、ふとした偶然で妻エレーヌの不倫を知ってしまい、相手の男の家を訪ねる。ゆっくりと破局へ向かっていくあるブルジョワジーの家庭を張り詰めた緊張感をもって描いたシャブロルの代表作の一本。数少ない登場人物、切り詰められた台詞と控え目な俳優の演技、ミニマルな姿勢に徹することで達成された高度なサスペンス描写と繊細極まる心理描写は、シャブロルの作品中屈指の精妙さを誇る。

「夫と妻と愛人、という単純な三角関係の物語はこれまで一度もまっとうなあつかいを受けていない。この世で最もありきたりな題材から独創的な映画を撮ろうという試みは面白いと思った」クロード・シャブロル

 

 

肉屋 Le Boucher

(フランス=イタリア/1970年/89分/カラー)

出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン・ヤンヌ、アントニオ・パッサリア

ペリゴール地方の小さな村で小学校の教師を務めるエレーヌは、ある結婚式で、インドシナ戦争とアルジェリア戦争からの帰還兵である肉屋のポールと出会い、親しくなる。一方、村では女性の連続殺人事件が起こり、美しい自然に彩られた村の日常が不穏なものになっていく。人を愛しきることができない女、そして果てしない闇を抱えた人間が絞り出す一瞬の切実さ。奇妙な切なさに放り出されるクライマックスも秀逸な、これぞシャブロル流愛の犯罪劇。

 

ヴィオレット・ノジエール Violette Nozière

(フランス=カナダ/1978年/124分/カラー)

出演:イザベル・ユペール、ステファン・オードラン、ジャン・カルメ、リサ・ラングロワ

1933年に実の両親を毒殺した罪で有罪となった実在の人物ヴィオレット・ノジエールを題材としたシャブロル監督の代表作。本作でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を授賞したイザベル・ユペールはステファン・オードランの後を継ぐシャブロル映画の「ミューズ」となり、シャブロル後期の傑作群をともに生み出していく。 「イザベル・ユペールは私の頭の中にある女性のリアリティを表現するのに欠かせない存在だ。そしてそのリアリティは7本一緒に撮り続けていくとともに変化し続けていく」クロード・シャブロル

 

 

主婦マリーがしたこと Une Affaire de femmes

(フランス/1988年/110分/カラー)

出演:イザベル・ユペール、フランソワ・クリュゼ、マリー・トランティニャン、ニルス・ダヴェルニエ

ナチ占領下のフランス。主婦のマリーは生計のために法律で禁じられている“妊娠中絶”を女たちに施していた。だが夫に密告され逮捕された彼女を待っていたのはギロチンだった……。シャブロルが冴えた演出力で描いた戦争下の女性たちの鮮やかな肖像画。シャブロルは、心理描写や時代背景を説明することより、限られた舞台セットの中で日常のディテールと登場人物たちの行動を巧みに演出することで、彼女、彼らの「真実」に見事に達している。ユペールはヴェネチア国際映画祭にて主演女優賞受賞。

 

ベティ Betty

(フランス/1992年/103分/カラー)

出演:マリー・トランティニャン、ステファーヌ・オードラン、ジャン・フランソワ=ガロ―

「穴」という名のレストランに身を寄せ、アルコールに溺れる若い女性ベティは、その店のオーナーマリオの愛人であるローラと知り合う。ローラはベティに手を差し伸べ、自分の屋敷に迎える。ベティはローラに自分の過去の結婚生活について話し始める…。シャブロルが偏愛し、たびたび映画の原作に選んだシムノンのあまり知られていなかった同名小説をスクリーンに見事に蘇らせた隠れた傑作。マリー・トランティニャンの怪優ぶりが素晴らしい。

 

 

沈黙の女たち/ロウフィールド館の惨劇 La Cérémonie

(フランス=ドイツ/1992年/111分/カラー)

出演:イザベル・ユペール、サンドリーヌ・ボレーヌ、ジャクリーヌ・ビセット、ジャン=ピエール・カッセル

メイドと郵便配達員、そして一見して非の打ちどころのない家族。階級を題材にしたサスペンス小説の舞台で、偽善、策略、そして沸き立つ怒りがしだいに明らかになる。ルース・レンデルの『ロウフィールド館の惨劇』を原作とした本作は、地方のフランス中産階級を辛辣に描いた、シャブロルのもっとも苛烈な作品と言えるだろう。ユペールとボネールはその素晴らしい演技で、揃って95年ヴェネチア国際映画祭の主演女優賞に輝いた。

 

 

最後の賭け Rien ne va plus

(フランス=スイス/1997年/105 分/カラー)

出演:イザベル・ユペール、ミシェル・セロー、フランソワ・クリュゼ

詐欺師のヴィクトールと年の離れた弟子ベティのコンビは、カジノにやってきた客を騙し、小金を稼ぐ日々を送っていた。次の獲物として二人が目を付けたのは、大金が入っていたアタッシュケースを持つ男だった…。ユペールとセローが魅惑的な詐欺師コンビを演じている。シムノンの小説を原作とした、ルビッチ風のコメディのテイストとヒッチコック風のサスペンス要素が混在した後年の意欲作。

 

 

甘い罠 Merci pour le chocolat

(フランス/2000年/100 分/カラー/デジタル)

出演:イザベル・ユペール、ジャック・デュトロン、アナ・ムグラリス

ピアニストのアンドレと再婚したミカは、前妻の息子と三人で、郊外の邸宅で穏やかに暮らしていた。ある日、ピアニスト志望の娘ジャンヌが現れ、レッスンのために家に出入りするようになったことで、ミカの不穏な心の闇と過去がしだいに明らかになっていく…。「この作品は、芸術を通して自分という人間を理解することができず、歪んだ人物となってしまう一人の女性の物語です。彼女は空虚であるため、さまざまな状況や感情、感情の絡み合いを通して自分自身を作り上げようとし、それが彼女を怪物のような存在へと導いていくのです」イザベル・ユペール

 

 

引き裂かれた女 La Fille coupée en deux

(フランス/2007年/115分/カラー)

出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ブノワ・マジメル、フランソワ・ベルレアン

20世紀初頭のアメリカで起こった「スタンフォード・ホワイト殺害事件」をベースに、年齢も性格も異なる2人の男に愛されたヒロイン、ガブリエルが、歪んだ恋愛関係に溺れ、自分を見失っていく様子を描く。濃密で重厚、感動的で、シャブロル監督の晩年の最高傑作の一つであり、豪華なキャスト陣が光る。

 

 

【クロード・シャブロル略歴】

1930年パリ出身。大学時代にシネクラブやシネマテークに入り浸り、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールらと知り合う。フリッツ・ラングとアルフレッド・ヒッチコックの熱狂的ファンとなり、50年代は「アール」誌、「カイエ・デュ・シネマ」誌に寄稿、20世紀フォックスの支社で宣伝も担当。ジャック・リヴェットの短編第一作『王手飛車取り』(56)に製作・脚本・出演で参加。1958年、長編第一作『美しきセルジュ』を監督。翌59年に『二重の鍵』、『いとこ同志』を発表。後者でベルリン映画祭金熊賞を受賞し、一躍注目を浴びる。以後ほぼ毎年のように監督作を発表。他の主な作品に『気のいい女たち』(60)、『殺意』(67)、『主婦マリーがしたこと』(88)、『ボヴァリー夫人』(91)、『石の微笑』(04)、『引き裂かれた女』(07)など。2010年、死去。人間の精神の不可解さや悪の本質をともに探求する。

  • 『気のいい女たち』©D.R.

  • 『女鹿』©︎Les films La Boëtie

  • 『肉屋』©︎Les films La Boëtie

  • 『ヴィオレット・ノジエール』©︎D.R.

  • 『主婦マリーがしたこと』©︎MK2

  • 『沈黙の女たち/ロウフィールド館の惨劇』©MK2

    関連イベント

    クロード・シャブロル傑作選

    映画監督クロード・シャブロルの傑作3本をラインナップした【クロード・シャブロル傑作選】が2月13日(金)より、シネマリス、Morc阿佐ヶ谷ほかで開催。
    提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム

     

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