写真展「交差する視点」 セルジュ・クレマン × 甲斐扶佐義
「交差する視点」は、同世代であり、日本とケベックを結ぶ対話によってつながる二人の写真家、セルジュ・クレマンと甲斐扶佐義の作品を集めた展覧会です。京都、奈良、モントリオールでの滞在制作を通して生まれた彼らのイメージは、都市を〈形態・記憶・歴史〉の空間として見つめています。視覚的な観察と内面的な探求のあいだで、本展は場所、歩み、そして物語を出会わせます。
本展「交差する視点」は、FOTOZOFIO と PHOTO GASPESIE による交換プログラムを契機に実現した、セルジュ・クレマンと甲斐扶佐義の近年の作品を紹介する写真展です。これらの作品は日本とケベックを舞台に制作され、都市・記憶・歴史の結びつきを繊細に探求しています。1960〜70年代の大きな社会変動を経験した同世代に属する二人の写真家は、急速な都市化と時代の激動に育まれた共通の感性を持っています。アプローチは大きく異なるものの、その共鳴は作品にも表れています。
2025年春、京都と奈良で滞在制作を行ったモントリオール出身の写真家セルジュ・クレマンは、木造建築、反射、線、都市構造といった「形態」を通して街を観察しました。彼の写真は、人間の痕跡の重なりの中に潜むグラフィカルな調和を浮かび上がらせ、都市景観を視覚的かつ構造的に読み解くことを提示しています。一方、京都の人々のポートレートで知られる甲斐扶佐義は、ここではより私的で内省的な作品を展開しています。モントリオールに移り住んだ兄の死後、彼は2025年にカナダを訪れ、その足跡をたどりながら街を歩きました。モントリオールのシリーズでは記憶と喪失を問いかけると同時に、故郷である山香町で撮影した写真は、彼の創作の原点へと立ち返るものとなっています。
分析的な視点と内省的な視点——二つのまなざしを対峙させることで、本展は日本とケベック、都市空間と個人史、構造と物語といった複数の次元を対話させます。
日程
2026年3月7日-22日(日月休館)
オープニングパーティー 3月6日(金)18:00より どなたでもご自由にお越しください。
時間
11:00-19:00 (最終日は17:00まで)
会場
関西日仏学館 3Fサロン
料金
入場無料
セルジュ・クレマン
セルジュ・クレマンは、問いと探究のプロセスそのものを主軸に据えた、作家主導の写真実践を展開してきた写真家である。その作品は詩的でありながら同時に撹乱的でもあり、ドキュメンタリー、インスタレーション、社会的言説、さらには写真エッセイと横断的に展開される。
彼は写真集を独立したひとつの作品として重視し、その中心に据えている。また2000年代以降、短編映画やインスタレーションを通して、映画と写真の関係性を問い続けている。
2025年には、Loco(パリ)とVU Photo(ケベック)による共同出版で、書物彫刻『Métamorphose』を刊行した。彼の作品はフランスおよびケベックで発表されており、近年では日本でも、京都のFOTOZOFIOや奈良のMOMENT contemporary art centerの「Post_Huis-Clos」にて紹介されている。現在は、モントリオールのGalerie Simon BlaisおよびリヨンのLe Réverbèreに所属している。
甲斐 扶佐義
1949年大分県生まれ。11歳で写真を始める。1972年、京都に喫茶店「ほんやら洞」を開店。同店は重要な文化拠点となり、彼の活動の重要な基盤ともなった。これまでに40冊以上の写真集を発表し、とりわけ鴨川沿いでの屋外展示などを通して、イメージの社会的循環に目を向けた作品を展開している。
2001年以降はヨーロッパや北米にも招かれ活動を広げるが、2015年に「ほんやら洞」が火災に遭い、約200万点に及ぶネガが焼失。この出来事は彼の作品に深い影響を与えた。
これまでに京都美術文化賞(2009年)、パリ・ボザール展ジャン・ラリヴィエール賞(2014年)、京都府文化賞功労賞(2023年)などを受賞。現在も写真と文章を往還しながら制作を続けている。
主催:MUZ ART PRODUCE
共催:関西日仏学館
連携:PHOTO GASPESIE、MOMENT Contemporary Art Center、ケベック州政府在日事務所、一般財団法人 森記念製造技術研究財団
協賛:DMG森精機株式会社