心と体を描くグラフィック・メディスン ― マンガと医療の対話

ベルギー出身のバンド・デシネ作家アリックス・ガランを迎え、自治医科大学で「マンガと医療」をテーマにした特別イベントを開催します。記憶やからだ、病といったテーマを中心に据えるガランの作品を通じて、マンガがどのように医療や人間の課題と対話できるのかを探ります。
イベントでは、まず精神科医の西依康(自治医科大学)が問題提起を行い、その後ガランさんによるライブドローイングが披露されます。
さらに、中垣恒太郎(専修大学、日本グラフィック・メディスン協会代表)と 鈴木繁(ニューヨーク市立大学、マンガ研究)が加わり、鼎談を通じて創作と医療の関わりを探ります。司会は美術史研究者の吹田映子(自治医科大学)が務めます。
日付
10月29日(水)
時間
18時~19時40分
会場
自治医科大学 教育・研究棟1階 講堂 (〒329-0498栃木県下野市薬師寺3311-1)
アクセス
JR「自治医大」駅、東出口から徒歩15分
入場
無料、予約不要
バンドデシネ作家
アリックス・ガラン

フランス語を母語とするバンドデシネ作家。1997年、ベルギー生まれ。
これまでに発表した2作のグラフィック・ノベルはいずれも高く評価され、2025年アングレーム国際漫画祭でフランステレビのオーディエンス賞を受賞するなど、多くの文学賞に輝いている。
彼女の作品は、卓越した言葉の詩情と力強く躍動感あふれる筆致に特徴づけられ、その若さにもかかわらず、読む者を魅了する。自己表現的な作風を得意とし、これまで語られることの少なかったテーマにも果敢に挑むその姿勢は、男性中心とされるコミック界においても将来を嘱望される存在として認められている。
肖像 : © Manuel Lagos Cid / Le Lombard

文学研究者
中垣 恒太郎

専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会代表、日本マンガ学会海外マンガ交流部会代表、日本マーク・トウェイン協会会長。
著書に、『マーク・トウェインと近代国家アメリカ』(音羽書房鶴見書店、2012年)、『日本の医療マンガ50年史――マンガの力で日本の医療をわかりやすくする』(責任編集、サイカス、2021年)、翻訳書に、MK・サーウィック『テイキング・ターンズ――HIV/エイズケア371病棟の物語』(共訳、サウザンブックス社、2022年)などがある。

文学研究者
鈴木 繁

ニューヨーク市立大学バルーク校(CUNY, Baruch College)近代言語・比較文学部の准教授。2008年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校で博士号(文学)を取得。専門は比較文学、カルチュラル・スタディーズ、文化理論、映画、マンガ/コミックス・スタディーズ。コロラド大学ボルダー校、イーロン大学、リーハイ大学などでも教歴がある。現在の研究関心は、メディアおよび視覚文化研究の文脈における日本のマンガと英語圏のグラフィック・ノベル、および日米のスペキュラティブ・フィクション。著書にロナルド・スチュワートとの共著による Manga: A Critical Guide(Bloomsbury, 2022)がある。また、学術誌 Mechademia: Second Arc のアソシエイト・エディターも務めている。
主な研究業績は以下のウェブサイトを参照:https://baruch-cuny.academia.edu/CJ
肖像 : © Paul Fisher Davies

精神科医
西依 康

精神科医。専門は精神病理学、精神医学史。沖縄県立中部病院で研修後、同県立宮古病院へ勤務する。
2016年、仏政府給費によりPitié-Salpêtrière病院(Paris)へ留学。
現在の所属は、自治医科大学精神科/精神腫瘍部。

研究者・翻訳家
吹田 映子

2019年から教員として自治医科大学に勤務(医学部総合教育部門・文学)。専門は近現代美術史。ルネ・マグリットの絵画に惹かれて以来、ベルギーを中心とする近現代の視覚表現を研究している。共著書に『ベルギーを〈視る〉 テクスト―視覚―聴覚』(松籟社、2016年)、『ベルギーの「移民」社会と文化 ―新たな文化的多層性に向けて—』(松籟社、2021年)、初の翻訳書として、アリックス・ガラン『わたしを忘れないで』(太郎次郎社エディタス、2023年)がある。

主催:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
共催:自治医科大学
協力:一般社団法人日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会
後援:駐日ベルギー王国大使館/フランス語共同体政府 国際交流振興庁 (WBI)