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講演会

稲の変容 – 香りと素材のあいだで : ダニエル・ペシオ(調香師)とドミティーユ・マルタン(舞台美術家・美術作家)による感覚の出会い

稲の変容 – 香りと素材のあいだで : ダニエル・ペシオ(調香師)とドミティーユ・マルタン(舞台美術家・美術作家)による感覚の出会い

稲は、食べ物である以前に、根を張り、葉を伸ばし、青々とした穂を実らせ、やがて黄金色に変化する「生きた植物」です。収穫ののち、稲は「藁」となり、繊維質の素材として、農業や工芸において欠かせない存在となります。稲は、形を変えながらさまざまな状態を経ていく「変容のサイクル」を体現しており、その多様な質感や用途は、感覚と創造の豊かな可能性を私たちに開いてくれます。

 

この「生きた素材」に創造的な視点から向き合うのが、2人のアーティストです。

 

ヴィラ九条山に2025年7月まで滞在中の美術作家・舞台美術家ドミティーユ・マルタンは、乾燥させた稲藁を撚り合わせ、空間に広がる立体作品を制作。植物繊維に命を吹き込み、新たなかたちへと昇華させます。
そして、「ニュイ・ブランシュKYOTO 2025」選出アーティストでもある調香師ダニエル・ペシオは、稲の香りの多面性 (生きた植物から蒸気、そして酒へと移り変わる香り) に着想を得て、繊細で詩的なフレグランスを生み出します。

 

熊本県・阿蘇で出会った品種「ミルキークイーン」から、伊勢や佐渡の島々、そして大阪・京都の稲作文化を讃える祭りまで、2人は日本各地で稲にまつわる風景と出会い、身体を通して土地に根ざした体験を重ねながら、作品へと昇華させています。

 

本イベントでは、2人の感覚が交差する創作の旅をたどりながら、作品に触れ、香りを感じ、その背景にある土地の記憶と素材の命に触れるひとときをお届けします。

 

司会: 武井舞子 (関西日仏学館)

日程

2025年07月25日 (金)

時間

18:30-20:30

会場

関西日仏学館 (京都)、3F サロン

入場

無料 (要予約)。お申し込みはPeatix、または当館受付にて。

  • © Camille Lé

  • © Domitille Martin

  • © Lauriane Jagault

  • © Lauriane Jagault

    舞台美術家・美術作家 (ヴィラ九条山2025年度レジデント)

    ドミティーユ・マルタン

    幅広い種類の素材を使って作品を生み出す彫刻家、ドミティーユ・マルタン。ギャラリーや劇場だけでなく、従来のアートスペースとは異なる場所でのインスタレーション・アートを行なっています。国立高等装飾美術学校(ENSAD)を2015年に卒業したのち、リオデジャネイロの造形芸術大学で学びました。自然からインスピレーションを受け、形作られるのがマルタンの作品。変貌をテーマとするだけではなく、動物、植物、鉱物、人間も扱っています。作品に命を吹き込むため、パフォーマンスアーティストとコラボレーションを行い、ダンサーやサーカス・アーティストと共に「Collectif Maison Courbe」を設立しました。2020年にはピエール・ゴーティエ・ディレイ賞を受賞し、パリ国際芸術都市に1年間滞在。マルタンは、素材との関係性を作品と創造プロセスの出発点としながら、作品を通して、斬新なパフォーマンスと造形芸術、そしてサーカスの道具と舞台装飾といった、分野の異なる芸術間の融合を追求しています。

    調香師 (ニュイ・ブランシュKYOTO 2025 選出アーティスト)

    ダニエル・ペシオ

    ダニエル・ペシオは、フリーの調香師、嗅覚アーティストです。彼は香りの儚い性質を、私たちの他の感覚との共感覚においてアーティスティックに扱います。2016年に香道と出会って以来、日本文化からインスピレーションを得て、香りが風景や振動を反映し、手に触れることのできるものを超えた深い意味を想起するような、感覚的なプロジェクトに取り組んでいます。飲む香水や、酒の香水、神話の島・淡路島での「ライス・エクスペリエンス」などを通して、新しい嗅覚表現の形を探究しています。ダニエル・ペシオは2019年度ヴィラ九条山レジデントです。

     

     © l.jaffredo 

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