ユネスコ無形文化遺産登録15周年を迎えて ― フランス食文化の魅力に迫る全5回シリーズ
2010年、ユネスコは「フランス人の美食」を、世界で初めて食文化として無形文化遺産に登録しました。この歴史的な出来事は、フランスにおける「食」の文化的・社会的価値を世界が認めたことを示しています。
なぜフランスの食文化がこのような評価を受けたのか。そこには、王侯貴族の宮廷文化から市民社会の誕生を経て現代に至るまで、食をめぐる価値観や美意識の変遷が深く関わっています。
本セミナーでは、西南学院大学名誉教授・武末祐子先生の近著『ガストロノミーの誕生――フランスの食文化から見た文学・絵画』(水声社)で示された視点をもとに、食文化が芸術や思想とも密接に結びつきながら形づくられてきた過程を、歴史的に捉え直します。
取り上げるのは、宮廷料理、パティスリー、パン、家庭料理、ワインという5つのテーマ。それぞれの食文化がどのように発展してきたのか、また、それがいかにして「フランス的なるもの」の構築に寄与してきたのかを考察していきます。
2025年は、無形文化遺産登録から15周年という節目の年。
この機会に、「食」という身近な営みを通して、フランス文化の深層に触れてみませんか。