追悼アラン・ドロン あるスターの存在証明
日程
11/1(金)・11/2(土)・11/7(木)・11/8(金)・11/10(日)
・スケジュール詳細はページ下の表をご覧ください。
場所
東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金
一般 : 1,500円/シニア:1,300円/アンダー30割:1,000円
講演チケット:上記、映画上映の料金設定と同様
チケットは10/24(木)00:00よりteketにて販売開始。
当日券も各回10枚ずつ用意しております。上映当日のみ、受付にてお買い求めいただけます。上映開始15分前に開場、整理番号順にご入場いただけます。お席は自由席です。劇場内では、水筒・ペットボトル飲料以外のご飲食はお断りしております。
60年代から現在に至るまで、日本でもっとも有名なフランス人俳優であり続けたアラン・ドロン。しかしその美貌やメディアが作りだしてきた華々しいイメージ、あるいはスキャンダラスな噂や事件だけが取りざたされ、ドロンが映画史においていかに特別な存在であるか、それほど認識されてこなかったのではないでしょうか。
ドロンは「太陽」のつくタイトルの映画で一躍有名となったほど、とくに日本では原題とは関係なく「太陽」をドロンの出演作に多用してきましたが、「太陽」をその美しい身体に浴びる姿で魅了させながらも、ときにはこの世のものとは思えない、天使のような美しさを放ちながら、その背後にはつねに死の香り、悲劇、暴力といった負の要素が見え隠れし、魅了するとともに不安を抱かせます。美と暴力、欲望と恐怖、親密さと距離、あるいは男性性と女性性、そうした相反するもの間の緊張関係の上でドロンの神話は築かれてきました。
こうして両義的な側面を持つアンチヒーローとしてのアラン・ドロン、唯一無二の存在でありながらつねに二重性を担ってきた「不可能なるスター」の魅力、その秘密に彼の代表作の上映さらにレクチャー、ディスカッションによって迫る特集を開催します。
アラン・ドロンが絶大な信頼を置いていた暗黒映画の巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルと生み出したフレンチ・フィルムノワールの傑作『サムライ』、『仁義』や『ル・ジタン』、『フリック・ストーリー』といったサスペンス・アクション、赤狩りでハリウッドを追われ亡命者となりながら映画を撮り続けた鬼才ジョゼフ・ロージーとの異色傑作『暗殺者のメロディ』と『パリの灯は遠く』、そしてイタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティの超大作『山猫』を4Kレストア版、35mmフィルムで特別上映します。
【上映作品】
山猫 Le Guépard
1963 / フランス・イタリア / 186分 ※4Kレストア版 35mmフィルムでの上映 国立映画アーカイブ所蔵作品
監督:ルキノ・ヴィスコンティ 出演:バート・ランカスター、クラウディア・カルディナーレ、アラン・ドロン
©️ Pathé Distribution
19世紀半ば、統一戦争下のイタリア。貴族社会の終焉を感じながらも、名門貴族サリーナ公爵家のドン・ファブリツィオは伝統を重んじて暮らしていた。彼は時代の変化に乗る若き甥タンクレディの姿に未来の夢を託し、翳りゆく自らの運命に向き合おうとするが…。本編の三分の一を豪華絢爛な舞踏会のシーンが占める、巨匠ヴィスコンティの退廃的な美学に貫かれた超大作。黒いタイを片目にまいたスタイルの野心家タンクレディを演じたドロンの妖しい魅力が光る。
サムライ Le Samouraï
1967 / フランス・イタリア / 105分 ※35mmフィルムでの上映
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 出演:アラン・ドロン、フランソワ・ペリエ、ナタリー・ドロン
©️1967 – Production Filmel – CICC – TCP / Editions René Chateau
武士道を重んじる殺し屋、ジェフ・コステロ。フレンチコートに中折れ帽をかぶり、淡々と任務を遂行、彼の心を慰めてくれるのは殺風景なアパートで飼っている一羽の小鳥のみ。今回も、標的であるナイトクラブの経営者を首尾よく暗殺したものの、現場を立ち去ろうとした際に女性歌手ヴァレリーに顔を見られてしまう…。メルヴィル監督ならではの硬く冷たくも美しい映像世界と、ドロン演じる寡黙な殺し屋像で人気を博した。
仁義 Le Cercle Rouge
1970 / フランス・イタリア / 140分
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 出演:アラン・ドロン、イヴ・モンタン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ブールヴィル、フランソワ・ペリエ
© 1970 STUDIOCANAL – Fono Roma
パリまで夜行列車で護送されていたが逃亡を図ったボーゲル。かたや刑務所を出所し、かつての仲間リコを訪ねるコレー。コレーの車のトランクに偶然ボーゲルが潜りこんだことから出会った二人は、射撃の名手ジャンセンを加えて宝石店の襲撃を企てるが…。脱走犯、元警官、裏社会に生きる<決して出会ってはいけなかった>5人の男たちが繰り広げる裏切りと仁義の物語。ドロン、モンタンほか各俳優の魅力が引き出された、渋く美しいフレンチ・ノワールの代表作。
暗殺者のメロディ L’Assassinat de Trotsky
1972/ イギリス・イタリア・フランス / 104分
監督:ジョゼフ・ロージー 出演:リチャード・バートン、アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー
©️DR
1929年、スターリンによってソ連から追放された革命家トロツキーは1940年、クレムリンに命を受けた暗殺者フランク・ジャクソンの手にかかって殺された。世界に大きな衝撃を与えた「トロツキー事件」をジョゼフ・ロージーが緊迫感たっぷりに映像化した異色のサスペンス。トロツキーを演じるのは『アレクサンダー大王』(56)、『史上最大の作戦』(62)などのイギリスを代表する俳優、リチャード・バートン。ドロンは密命をうけ、次第に心理的に追い詰められていく暗殺者を演じている。
フリック・ストーリー Flic Story
1975 / フランス・イタリア / 112分
監督:ジャック・ドレー 出演:アラン・ドロン、ジャン=ルイ・トランティニャン、クローディーヌ・オージェ
© 1975 STUDIOCANAL – Pathé Cinéma – Mondial Tefi Televisione Film
1947年のある日、凶悪犯エミール・ビュイッシュが脱獄した。逮捕を命じられた敏腕刑事ロジェ・ボルニッシュはさっそく捜査に乗り出すが、ビュイッシュは彼を嘲笑うかのように次々と犯罪を重ねていく…。ドロン自身が製作をつとめた本作は、犯人役のトランティニャンにどこか花を持たせるような演出も興味深い、男二人の魅力が激突する犯罪ドラマ。30件以上の殺人を犯した、フランス犯罪史上最も悪名高いギャングといわれるエミール・ビュイッシュの実話をもとに作られた。
ル・ジタン Le Gitan
1975 / フランス / 103分
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ 出演:アラン・ドロン、ポール・ムーリス、マルセル・ボズフィ、アニー・ジラルド
© 1975 STUDIOCANAL-Mondial Tefi televisione Film
“ジタン”の名前で呼ばれるユーゴは一匹狼のならず者。彼はジプシーの出身で、世間から冷たい仕打ちを受けて生きてきた。3年前、仲間に暴力をふるった村の村長を殺害したために入獄していたが、そこで知り合った銀行強盗のジョーと共に脱獄し、いくつもの銀行強盗をやってのけた。彼らを追う警察、そしてある因縁で結ばれている暗黒街の大物、男たちの思惑が交錯する。差別を受け、社会に反逆をちかう深い孤独を背負った男をドロンが熱演。脚本を読んですぐに主演を買ってでたという。
パリの灯は遠く Monsieur Klein
1976 / フランス・イタリア / 124分
監督:ジョゼフ・ロージー 出演:アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、ジュリエット・ベルト、マイケル・ロンズデール
© 1976 STUDIOCANAL – Titanus Distribution
第二次世界大戦下、ナチスに占領されたパリ。ユダヤ人所蔵の美術品を買い叩いて儲けていたフランス人美術商ロベールのもとにある日、ユダヤ人のための会報誌が届く。同姓同名のユダヤ人がいることを知り、不安と焦りの中で日々を過ごすロベールだったが、かつてない規模のユダヤ人大量検挙の日が近づいていた。残酷な国家と無力な個人。ユダヤ人狩りに巻き込まれていく男の恐怖を、巨匠ジョゼフ・ロージー監督がショッキングなまでに淡々と描く社会派サスペンスの金字塔。共演はジャンヌ・モロー。
【トークイベント】
・11月1日(金) 18:30『仁義』上映後 トーク
登壇者:荻野洋一 司会:坂本安美
・11月8日(金) 18:00
クレモン・ロジェによる講演会「ドロンのブルース:あるアイコンの存在証明」
今年8月18日、アラン・ドロンが88歳で亡くなった。魅力的な”サムライ”であった彼は、ヌーヴェル・ヴァーグを経ることなく、戦後ヨーロッパ映画の現代性を体現し、自らのイメージと個人的な財産を捧げ、時には彼自身のものとは相反する思想を伝える映画に出演し、製作し続けた。俳優とそのイメージの間の複雑な二面性によってつねに特徴づけられる類稀なるそのフィルモグラフィーを振り返る。(仏語・日本語通訳付き)
・11月10日(日) 13:00 『パリの灯は遠く』上映後 ディスカッション
登壇者:上條葉月、クレモン・ロジェ、坂本安美
字幕翻訳・文筆
上條葉月
1992年生まれ。字幕翻訳者。字幕翻訳の傍ら、映画上映の企画・プログラミングも行う。劇場パンフレットや雑誌「ユリイカ」「DVD&動画配信でーた」に寄稿するなど、文筆家としても活動。
映画評論家
荻野洋一
映画評論家/番組等の構成・演出。著書『ばらばらとなりし花びらの欠片に捧ぐ』7/30発売(リトルモア刊)。映画評をキネマ旬報、リアルサウンド、現代ビジネス、boidマガジン、NOBODY、映画チャンネル等に寄稿。ブログはたまに更新。
ジャーナリスト・映画プログラマー
クレモン・ロジェ
ジャーナリスト、映画プログラマー。パリの日本文化会館で映画を担当し、ジャポニスム2018や濱口竜介回顧展(2019年)など数々のイベントを手がける。また、シネマテーク・フランセーズでは、清水宏全作品回顧展(2021年)、三隅研次全作品回顧展(2024年)など、日本映画の紹介に多く寄与している。国内外の映画祭でプログラミングを担当も手掛ける。ジャーナリストとして映画雑誌『カイエ・デュ・シネマ』や『トラフィック』に寄稿、フランスや日本で数多くの出版物に寄稿している。
アンスティチュ・フランセ映画プログラム主任
坂本安美
東京都市出身。『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』誌元編集委員。1996年より東京日仏学院(アンスティチュ・フランセ)にて映画プログラム主任を担当し、さまざまな映画上映の企画・運営を手がける。ロカルノ国際映画祭Opera Prima(新人部門)、カンヌ国際映画祭「批評家週間短編作品部門」、東京フィルメックス映画祭などで審査員を務める。著書は『エドワード・ヤン 再考/再見』、『そして映画館はつづく』(共著、フィルムアート社)、『サッシャ・ギトリ 都市・演劇・映画 増補新版』(梅本洋一著/坂本安美編、ソリレス書店)などがある。
スケジュール
上映日 | 時間 | タイトル | |
---|---|---|---|
11/1(金) | 13:30 | サムライ | チケット予約 |
11/1(金) | 15:45 | ル・ジタン | チケット予約 |
11/1(金) | 18:30 | 仁義 ★上映後トークあり(ゲスト:荻野洋一) | チケット予約 |
11/2(土) | 11:30 | ル・ジタン | チケット予約 |
11/2(土) | 14:00 | 仁義 | チケット予約 |
11/2(土) | 16:50 | サムライ | チケット予約 |
11/2(土) | 19:00 | フリック・ストーリー | チケット予約 |
11/7(木) | 13:00 | パリの灯は遠く | チケット予約 |
11/7(木) | 15:30 | 山猫 | チケット予約 |
11/7(木) | 19:00 | サムライ | チケット予約 |
11/8(金) | 13:00 | サムライ | チケット予約 |
11/8(金) | 15:30 | フリック・ストーリー | チケット予約 |
11/8(金) | 18:00 | 講演会「ドロンのブルース:あるアイコンの存在証明」(講師:クレモン・ロジェ) | チケット予約 |
11/10(日) | 10:45 | 暗殺者のメロディ | チケット予約 |
11/10(日) | 13:00 | パリの灯は遠く ★上映後ディスカッションあり | チケット予約 |
11/10(日) | 16:30 | 山猫 | チケット予約 |
11/1(金)
時間
13:30
タイトル
サムライ
チケット予約11/1(金)
時間
15:45
タイトル
ル・ジタン
チケット予約11/1(金)
時間
18:30
タイトル
仁義 ★上映後トークあり(ゲスト:荻野洋一)
チケット予約11/2(土)
時間
11:30
タイトル
ル・ジタン
チケット予約11/2(土)
時間
14:00
タイトル
仁義
チケット予約11/2(土)
時間
16:50
タイトル
サムライ
チケット予約11/2(土)
時間
19:00
タイトル
フリック・ストーリー
チケット予約11/7(木)
時間
13:00
タイトル
パリの灯は遠く
チケット予約11/7(木)
時間
15:30
タイトル
山猫
チケット予約11/7(木)
時間
19:00
タイトル
サムライ
チケット予約11/8(金)
時間
13:00
タイトル
サムライ
チケット予約11/8(金)
時間
15:30
タイトル
フリック・ストーリー
チケット予約11/8(金)
時間
18:00
タイトル
講演会「ドロンのブルース:あるアイコンの存在証明」(講師:クレモン・ロジェ)
チケット予約11/10(日)
時間
10:45
タイトル
暗殺者のメロディ
チケット予約11/10(日)
時間
13:00
タイトル
パリの灯は遠く ★上映後ディスカッションあり
チケット予約11/10(日)
時間
16:30
タイトル
山猫
チケット予約