『ヒロシマモナムール』をめぐって
日程
2024年10月13日(日)
時間
第1部:14時30分~16時/第2部 16時30分~19時30分
場所
東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金
第1部、第2部それぞれ1,500円。Peatixにて9/30(月)正午よりチケット発売開始。
完全入れ替え制。
日仏会館(恵比寿)にて10/11(金)より10/28(月)まで開催される「HIROSHIMA1958―軌跡」展、そしてアラン・レネ没後10年を記念して、同監督の初長編作品であり、映画史に残る傑作『ヒロシマモナムール』をめぐるイベントを開催します。第1部では、アラン・レネ短編作品『ヴァン・ゴッホ』の上映と筒井武文さんによる講演会、第2部では『ヒロシマモナムール』の上映、そして豪華ゲストによるシンポジウムを行います。
【プログラム】
第1部
14:30 講演会「アラン・レネとは誰か」 講師:筒井武文(映画監督、東京芸術大学大学院教授)
*講演に先だちアラン・レネの『ヴァン・ゴッホ』(18分)上映します。
第2部
16:30 上映 『ヒロシマモナムール』(91分)
上映後、シンポジウム開催 登壇者:草野なつか(映画監督)、港千尋(写真家、映像人類学)、斉藤綾子(映画研究者)、筒井武文
【上映作品】
ヴァン・ゴッホ
(1948年/18分/モノクロ/DVD/日本語字幕付)
つねに新境地を開拓し続けたアラン・レネ監督の短編作品。画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(フィンセント・ファン・ゴッホ)の作品のモンタージュやクローズアップを通し、その人物像に迫る。第22回アカデミー賞短編実写映画賞受賞作品。「描かれた木や人物、家が、映画の編集によって、説話の中で実在するものとしての役割を担えるかどうかが重要だった」(アラン・レネ)。
ヒロシマモナムール(『二十四時間の情事』)
(フランス=日本/1959年/91分/モノクロ/デジタル/日本語字幕付)
製作:アナトール・ドーマン/サミー・アルフォン、永田雅一
監督:アラン・レネ 脚本:マルグリット・デュラス
出演:エマニュエル・リヴァ、岡田英次
撮影:サシャ・ヴィエルニ、高橋通夫
音楽:ジョヴァンニ・フスコ/ジョルジュ・ドルリュー
広島に反戦映画のロケに来たフランス人女優と日本人の建築技師。二人は偶然出会い、一夜の情事に身をまかせる。女優は、独軍占領下のフランスの田舎で、敵兵と密通して断罪された過去を持つ。そして知る、広島の悲劇。時あたかも1957年8月。原水禁運動を背景に、二人の孤独な会話……。焦土から奇跡の復興を遂げたその町は、しかし死の影を決して忘れることはない。
「病院と患者も見つかりました。それから被爆者手帳も。さらに丘の上の廃墟となった寺、なかなか生えてこない草、土産物屋の並び、慰霊碑の前で互いの写真を撮る人たち、焼けこげた石[壁に焼き付いた]影(大変ぼやけています)、魚市場、食堂を仕切っている寡婦、2、3匹の蟻、街の観光バス、朝のコーヒー、いくつもの橋と運河……」(広島での撮影前にアラン・レネがマルグリット・デュラスに宛てた手紙、『HIROSHIMA 1958』、関口涼子訳、インスクリプト)。
映画監督
草野なつか (くさの なつか)
1985年生まれ、神奈川県出身。映画作家。東海大学文学部文芸創作学科卒業、映画美学校12期フィクション・コース修了。2014年『螺旋銀河』で長編映画を初監督。長編監督2作目となる『王国(あるいはその家について)』(2018)はロッテルダム国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映されたほか、英国映画協会が選ぶ「1925~2019年、それぞれの年の優れた日本映画」の2019年で選ばれる。最新作はオムニバス映画『広島を上演する』(2023)の一編である『夢の涯てまで』。
写真家、映像人類学
港千尋(みなと ちひろ)
1960年、神奈川県生まれ。写真家、映像人類学。早稲田大学在学中に南アメリカ各国を移動しながら写真を始め、卒業後にパリを拠点に写真家として活躍。1989年に起きた東欧の革命を取材する中で群衆とイメージについて考察を開始し、写真とテキストを組み合わせた独自のスタイルを作り上げる。以後、芸術の発生、記憶と予兆などをテーマに、国内外で制作と発表を続けている。1995年より多摩美術大学美術学部で教鞭をとり、現在は同大学情報デザイン学科教授。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。著書に『記憶──創造と想起の力』(講談社、サントリー学芸賞)、『洞窟へ──心とイメージのアルケオロジー』(せりか書房)など多数。2016年には「あいちトリエンナーレ2016」の芸術監督を務めた。
映画研究者
斉藤綾子(さいとう あやこ)
明治学院大学文学部芸術学科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)映画テレビ学部大学院博士課程修了。専門は映画研究、フェミニズム批評。 共編書に『映画と身体/性』(森話社)、『映画女優 若尾文子』(みすず書房)、『可視性と不可視性のはざまで 人種神話を解体する 1』(東京大学出版会)など。
映画監督、東京藝術大学映像研究科映画専攻長
筒井武文(つつい たけふみ)
映像研究科映画専攻長、編集領域教授。東京造形大学時代より、映画製作を開始。87年サイレント映画『ゆめこの大冒険』で劇場デビュー。編集、監督の仕事の傍ら、映画批評を多数執筆。主な監督作品に、『オーバードライヴ』(04)、『バッハの肖像』(10)、『孤独な惑星』(11)。新作に『自由なファンシィ』『映像の発見=松本俊夫の時代』がある。