スキル・アカデミー:上映会 & ラウンドテーブル「土を巡る風景」
【プログラム】
17:00~18:40
上映会『雨月物語』監督:溝口健二
1953年/日本/96分/モノクロ/ブルーレイ上映
19:00~20:30
ラウンドテーブル「土を巡る風景」(日仏通訳あり)
登壇者(敬称略)
フランソワーズ・ペトロヴィッチ、柴田敏雄
司会:ユーグ・ジャケ
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自然素材に光を当て、そのスキル(=職人技術や手わざ)の伝承、拡張、普及を目指す、スキル・アカデミー。2021から2022年は「木」に光を当て、2023年からは「土」をテーマにさまざまな企画を実施してきました。それらの考察の締めくくりのセッションとして、「土を巡る風景」を開催いたします。
陶芸の素材であるだけではなく、絵画や写真の重要なモチーフでもある土は、アーティストたちにどのような風景を生み出してきたでしょうか。陶芸のように、手で直接触れる創作の過程では、土の感触や形によって、思いがけない心の中の風景が浮かび上がることもあるでしょう。絵画や写真の中では、大地の様子や色彩が、全体の印象と響き合うことも、また自然と人工を超えた風景として現れることもあるのではないでしょうか。
「土を巡る風景」は、上映会とラウンドテーブルにて構成されます。
まず、映画の中で描かれる、土を扱う職人の姿や彼らを取り巻く環境について考察するために、溝口健二監督作品『雨月物語』(1953年)を鑑賞します。主人公である源十郎(森雅之)は、戦の世に翻弄されながらも自らのやきものを完成させようと、ろくろを回し、登り窯に火を入れます。やきものを作る名場面だけでなく、農業のかたわら陶工として生きる者としての、あるいは侍へと身分を変えて名を成そうとする者としての、乱世の男の姿も見どころです。当時の社会構造や戦の傍らで繰り広げられる幻想的な風景が浮かび上がります。
ラウンドテーブルでは、社会学者・歴史学者であるユーグ・ジャケ氏による司会のもと、昨年出版した書籍『Savoir & Faire 土』で取り上げた二人のアーティストを迎え、風景について話し合います。
フランスからは、オンラインでフランソワーズ・ペトロヴィッチ氏が登壇し、陶芸や絵画のみならずガラスや版画など、多種多様なメディアを用いる制作スタイルに映し出される風景について、それらの技術とインスピレーションの連関についてお話いただきます。また、東京では、写真家・柴田敏雄氏を会場に迎え、ヨーロッパやアメリカ、そして日本各地を旅する中で生成される自然や人工物への眼差しや、モノクロとカラーの表現に現れる様々な風景についてお話いただきます。