第9回「哲学の夕べ」メタモルフォーゼ
日程
2022年11月26日(土)
会場
東京日仏学院
第9回「哲学の夕べ」
― メタモルフォーゼ ―
私たちの目に映る世界は大きく変化していて、緩やかで消えることのない変化もあれば、突発的で暴力的な変化もあります。事物にはある種の永続性があることを強く感じながらも、私たちを取り囲む事物や自分自身が、絶え間なく進化し、変容(メタモルフォーゼ)していることを常に考えずにはいられません。
アンスティチュ・フランセ東京の変容と新館のオープンを機に、哲学者エマヌエーレ・コッチャと多くの思想家やアーティストを招き、世界の変容についてともに考える機会を創出します。
「哲学の夕べ」は、アートとの刺激的な対話を通して哲学にアプローチするイベントです。
第9回目となる今年のテーマは「メタモルフォーゼ」。講演会や展示、上映、パフォーマンスやワークショップなど、アンスティチュ・フランセ東京の敷地内を散策しながら楽しめる多彩なプログラムをお楽しみください。
参加アーティスト・哲学者・研究者(予定):エマヌエーレ・コッチャ、マリーヌ・シェネ、吉開菜央、石倉敏明、西山雄二、伊藤亜紗、星野太、ハラサオリ、小林勇輝、リア・ジロー、エリー・オールドマン、グレゴリー・アンボス、他
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上映会
上映会:『風にのるはなし』『境界に生きる』
13時30分〜14時10分(13時開場)| エスパス・イマージュ
※上映後、続けてアフタートークを開催いたします(14時10分~15時30分)
『風にのるはなし』
監督:吉開菜央(2017年、9min)
神奈川県真鶴町で実際に起こったできごとや、その町にある景色を素材に、フィクションとして描き起こした、真鶴シティサイクリングファンタジー。
『境界に生きる』
監督:マリーヌ・シェネ、ヴァンサン・ブリューノ(2021年、29min)
コンテンポラリーダンスの振付家でダンサーのマリーヌ・シェネは、レユニオン島のザトウクジラに会いに行く。海でのクジラとの交流や触れ合いから、次回作の土台となる、素潜りでの即興のダンスが生まれる。
上映後アフタートーク
14時10分〜15時30分| エスパス・イマージュ
登壇:マリーヌ・シェネ(振付家、ダンサー)※オンライン参加、吉開菜央(映像作家、ダンサー、振付家)、石倉敏明(芸術人類学者/秋田公立美術大学教授)
(使用言語:フランス語と日本語。同時通訳付)
要予約 ※上映会:『風にのるはなし』『境界に生きる』(13時30分〜14時10分)と共通予約
監督
マリーヌ・シェネ Marine Chesnais
1988年生まれ。ブルターニュ出身の振付家、ダンサー。海や自然との関係に情熱を傾け、自然や生物と共存した生き方に対する意識を高める活動に力を注いでいる。2017年に文化的エコロジーのプラットフォームとなることを目指したカンパニー「ONE BREATH」を設立。バイオ・インスパイアード・ダンス活動を行なう。
監督・ダンサー・振付家
吉開菜央
1987年生まれ。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。自らの心身に蓄積した感覚・記憶などを、映画制作を中心に、あらゆるメディアで表現している。監督した主な映画は『Shari』(ロッテルダム国際映画祭2022公式選出)『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間2019正式招待)『ほったまるびより』(文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門新人賞受賞)。
人類学者・神話学者
石倉敏明
人類学者・神話学者。1974年、東京生まれ。秋田公立美術大学複合芸術研究科・美術学部准教授。1997年より、ダージリン、シッキム、ネパール、東北日本各地で聖者や女神信仰、「山の神」神話調査をおこなう。環太平洋圏の比較神話学に基づき、論考や書籍を発表する。近年は秋田を拠点に、北東北の文化的ルーツに根ざした芸術表現の可能性を研究する。著書に『Lexicon 現代人類学』(奥野克巳との共著、以文社)、『野生めぐり 列島神話の源流に触れる12の旅』(田附勝との共著、淡交社)など。
講演会・鼎談
講演会「メタモルフォーゼの哲学」講師:エマヌエーレ・コッチャ
16時〜17時(15時30分開場) | エスパス・イマージュ
(使用言語:フランス語。日本語通訳付き)
※本講演後、続けて鼎談を開催いたします(17時~18時)
11月に邦訳が出版される「メタモルフォーゼの哲学」について、著書エマヌエーレ・コッチャ氏が講演を行います。
鼎談 : 17時〜18時| エスパス・イマージュ
登壇:エマヌエーレ・コッチャ(哲学者)、伊藤亜紗(美学者/東京工業大学教授)、西山雄二(哲学者/東京都立大学教授)
(使用言語:フランス語と日本語。同時通訳付)
要予約 ※講演会「メタモルフォーゼの哲学」(16時~17時)と共通予約
哲学者
エマヌエーレ・コッチャ Emanuele Coccia
パリ・社会科学高等研究院(EHESS)准教授。研究分野は中世哲学、キリスト教的規範性の歴史と理論。フライブルク大学准教授を経て現職。2019年にカルティエ現代美術財団で開催されたNous les Arbres展では学術顧問を担当した。著作に、La vie sensible(2010年)、Le Bien dans les choses(2013年)、La vie des plantes(2016年・邦訳『植物の生の哲学:混合の形而上学』)、Métamorphoses(2020年・邦訳『メタモルフォーゼの哲学』)などがあり、数多くの言語に翻訳されている。
研究者
伊藤亜紗
東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授。MIT客員研究員(2019年)。専門は美学、現代アート。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社、2015年)、『どもる体』(医学書院、2018年)、『記憶する体』(春秋社、2019年)、『手の倫理』(講談社、2020年)。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2017、第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第42回サントリー学芸賞受賞。
哲学者
西山雄二
1971年生まれ。東京都立大学人文科学研究科准教授。著書に、『哲学への権利』(勁草書房)、『異議申し立てとしての文学――モーリス・ブランショにおける孤独、友愛、共同性』(御茶の水書房)。編著に、『いま言葉で息をするために ウイルス時代の人文知』『カタストロフィと人文学』(勁草書房)、『終わりなきデリダ』(法政大学出版局)、『人文学と制度』(未來社)、『哲学と大学』(未來社)など。訳書に、ジャック・デリダ『獣と主権者』(全2巻、白水社)、『哲学への権利』(全2巻、みすず書房)、など。
講演会「哲学者のメタモルフォーゼ──ディオゲネスの場合」講師:星野太(東京大学准教授)
18時30分〜19時30分(18時開場)| エスパス・イマージュ
(使用言語:日本語)
哲学者
星野太
1983年生まれ。美学、表象文化論。主な著書に、『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、『美学のプラクティス』(水声社、2021年)など、主な訳書に、ジャン=フランソワ・リオタール『崇高の分析論――カント『判断力批判』についての講義録』(法政大学出版局、2020年)などがある。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。
パフォーマンス
蕊(ズイ)/ Zui(ハラサオリ&小林勇輝)
『osmosism』
11月26日(土)14時~15時、20時~21時
27日(日)14時~15時、18時~19時
付家/ダンサーのハラサオリと現代美術家/パフォーマンスアーティストの小林勇輝が、2021年に立ち上げたコレクティブ「蕊(ズイ)」の第一回のプロジェクトは、「osmosism」と題して、現代思想と身体表現の交点を探ります。「哲学の夕べ 2022」では、“植物の生の哲学”で知られる哲学者エマヌエーレ・コッチャの著作に応答する作品を発表します。 作品発表に向けたリサーチの一環として、全3回(10/23, 11/6, 11/13)の連続ワークショップを開催します。
『osmosism』 プロジェクト クレジット:
主催:蕊、一般社団法人ダンス・ニッポン・アソシエイツ
共催:アンスティチュ・フランセ東京、Dance Base Yokohama
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
協賛:ヴェオリア・ジャパン株式会社
協力:勁草書房、文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業
展覧会
エリー・オールドマン「終わりなき絵の壮大な物語」展
11月26日〜12月18日|ホール
入場無料・予約不要
現代のエコロジーや環境問題について、ARを使って双方向に楽しみながら学ぶ巨大壁画の展示。2017年春より、イラストレーターのエリー・オールドマンはインスタグラムで終わりなき絵を発信、独学でイラストレーターとなります。様々な社会問題にも取り組む中、病気療養中に制作意欲が高まり、以来毎日描き続け、日常から得たアイディアや、逆にイラストから発展したアイディアを創作活動に生かしています。彼女によって、壁画からとてつもない、奇想天外な物語が紡ぎだされます。タブレットやスマートフォンなどの端末を使ってお楽しみください。週末はアートメディエーターがご案内いたします。
オードレー・フォンドカーヴによる子どものためのアートアトリエ 開催!
日時:12月10日(土)13時~14時30分 会場:アンスティチュ・フランセ東京 ホール
対象年齢:6-12歳 料金:500円 要予約・詳細はこちら
リア・ジローによる展覧会『エントロピー』と『光合成』
11月26日〜12月18日|リヴ・ドロワット
入場無料・予約不要
フランス在住アーティスト、リア・ジローの作品2点を展示。
リア・ジローはドキュメンタリー映像を専攻後、ビジュアルアート博士号(SACRe/PSL)取得。マルセイユ国立高等美術学校(INSEAMM)写真科教授。彼女のインスタレーション作品は、科学技術の影響を受けた現代の、生物に対する概念や関係性の変化を10年以上にわたり探求してきました。生物学的現象、テクノロジー、画像システムを組み合わせたプロセスを重視する作品群は、繊細な対話を通して、私たちの環境経験を問い直し、新しいエコロジーを提案します。
『Nature Is Not Your Household』展
11月26日〜12月18日|ギャラリー
入場無料・予約不要
参加アーティスト:石塚俊、岡﨑真理子、小林一毅、小林健太、佐々木俊、鈴木哲生、髙田唯、田部井美奈、西川©友美、村松佳樹、幸洋子、上田普&グレゴリー・アンボス、野本哲平
企画・主催:グレゴリー・アンボス
協力:嶋崎正樹、勁草書房
2020年にオンラインのみで開催されたポスター展が、リアル展示で開催されます。
哲学者エマヌエーレ・コッチャの著作『植物の生の哲学』と『メタモルフォーゼの哲学』からの抜粋テキストに対して、13人の日本とフランスのデザイナー、イラストレーターたちが自由に応答し、ポスター作品をクリエーションしました。