伝統工芸 日仏の交差する視点
生産と流通、そして国内外の市場の発達の中で経済動向が変化している今日、伝統工芸はどのように定義され、認識されているのでしょうか?こうした変容は、工芸活動に伴う経済的、文化的、象徴的な価値のあり方の再定義を、どのように促しているのでしょうか?
関西では初開催となる本イベントは、日仏経済交流を推進する在日フランス商工会議所関西デスクと、フランス文化の発信を担う関西日仏学館という二つの重要な機関によって開催されます。京都で行われるこの特別な機会に、フランスと日本の工芸のサヴォアフェール(匠の技)の現在の進化について探究します。
テーマごとの3つのラウンドテーブルを通して各分野の専門家たちが日本語で対話し、次のような構造的課題についての議論を深めることを目指します。すなわち、伝統工芸におけるデジタル化および、それによって生み出される新たな価値の形態や、付加価値の高い国際市場への参入をめぐる課題と戦略、そして、文化遺産の活用と新たな価値の創造の間にある、文化資源の再創造のプロセスという課題です。
ラウンドテーブルの終了後、テラスにて本イベント参加者限定のカクテルパーティーを実施します。日仏の関係者による交流会にてネットワーキングのひとときをお過ごしください。
日程
2026年6月18日(木)
時間
セミナー 14時~18時
交流会 18時~19時
会場
関西日仏学館(京都)稲畑ホール(交流会は3Fサロンで実施 ※イベント参加者限定 )
言語
日本語(Coefontによる同時通訳あり)
料金
3000円(ラウンドテーブルと交流会への参加料)※要予約
定員
80名
プログラム
13:45 開場
14:00 – 14:15
サンドリン ムシェ、在京都フランス総領事、関西日仏学館館長による開会挨拶:関西日仏学館および在日フランス商工会議所の紹介
14:25 – 15:25
伝統工芸におけるデジタル化:価値の創造とは?
ヴォヴィ・ピエール(Pierre Vauvy)氏、岡山工芸株式会社 – 総務部 部長
ベルトラン・トマ(Thomas Bertrand)氏、株式会社BERTRAND Ship&co 創業者& CEO
デジタル技術は今日、工芸やその発信方法、そしてその経済モデルをどのように変化させているのでしょうか?オンラインでの発信力、eコマース、新しい広報戦略や、顧客の国際化が進む中、このラウンドテーブルでは、伝統的なサヴォアフェール(匠の技)のデジタル化の可能性や限界について考えます。日本の工芸の価値向上や発信に携わる関係者の視線を通して、イノベーションと継承、市場が交差する地点において、デジタルによって生まれる新たな価値の形態を問い直します。
15:30 – 16:30
海外展開:高付加価値市場への参入をめぐる課題と戦略
西堀 耕太郎氏、株式会社日吉屋 代表取締役、株式会社TCI研究所代表取締役
岡本 絵麻氏、 岡本織物株式会社 西陣岡本 – 専務取締役
交流のグローバル化や人々のニーズの変化を背景に、伝統工芸の職人や企業はどのように国際的な展開を行っているのでしょうか?このラウンドテーブルでは、文化的背景への適応やサヴォアフェール(匠の技)の保存、ブランドの位置づけや、工芸をめぐるストーリーの構築を通して、高付加価値市場に参入するための戦略を取り上げます。登壇者たちは、国内外での具体的な経験をもとに、それぞれの活動の独自性にふさわしい、持続可能な国際化のために必要な条件についての考えを語ります。
16:35 – 17:45
文化資源を翻訳するー 継承から価値創出への挑戦
盛岡 笑奈氏、LVMH メティエダールジャパン ディレクター、LVMH ジャパン コーポレートアフェアーズ ディレクター
山添 藤真氏、元京都府与謝野町長(3期)、元与謝野町議会議員(1期)
佐野 真由子氏、京都大学大学院教育学研究科教授
受け継ぎ、育んだ文化資源を未来へつなぐには、産業化を通じて価値の再定義が欠かせない。また、「選ぶ」、「あえて手放す」覚悟なくして強いブランドは立ち上がらない。当パネルディスカッションは、日仏欧の知見を交差させ、地域、担い手、市場の関係を問い直す。
17:45 – 18:00 閉会の挨拶
18:00 – 19:00 ネットワーキング(フランス式ビュッフェ、シャンパン&ワイン)
岡山工芸株式会社 – 総務部 部長
ピエール・ヴォヴィ
ピエール・ヴォヴィ氏は、日本文化と伝統工芸への情熱をきっかけに、20年以上前に日本へ移住しました。岡山工藝における活動を通じて、17世紀に京都で生まれた着物の手描き染色技法「京友禅」を専門とするようになります。1968年に岡山武子氏によって創設された工房は、現在も京都を拠点としています。
岡山武子氏は、1994年に京友禅分野において女性として初めて日本の通商産業省(現・経済産業省)より伝統工芸士として認定されました。岡山工藝の幻想的な作品群は、日本国内のみならず、とりわけフランスをはじめとする海外でも高く評価されています。やわらかく繊細な色彩表現を特徴とするその作品は、「YUME」と名付けられた着物にも象徴されており、ブランドの象徴であると同時に、この染織文化の継承を体現しています。
株式会社BERTRAND Ship&co – 創業者&CEO
トマ・ベルトラン
2003年より京都を拠点に活動するフランス人起業家、トマ・ベルトラン氏は、Eコマースおよび物流分野の専門家です。日本ならではのキッチン用品やライフスタイル雑貨を100か国以上へ輸出する「Bento&co」の創業者として知られ、オンラインを通じたBtoB・BtoC向け販売に加え、2012年からは京都に実店舗も展開しています。
また、同氏は、日本初となる配送業者とECプラットフォームを連携するオンラインサービス「Ship&co」を創設しました。このサービスは、日本国内の主要配送会社であるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社と連携しています。さらに、FedEx、UPS、DHLなど海外配送業者との提携を通じて、配送ラベル作成のデジタル化や国際発送の効率化にも貢献しています。
株式会社日吉屋代表取締役、 株式会社TCI研究所代表取締役
西堀 耕太郎
和歌山県出身の西堀耕太郎氏は、カナダで通訳として公務に携わった後、妻の実家である日吉屋に入社しました。2004年に代表取締役に就任し、現在は京都で唯一残る伝統和傘メーカーを率いています。五代にわたり受け継がれてきた「伝統とは革新の連続である」という企業理念のもと、西堀氏は和傘の伝統的な機能を守るだけでなく、その独自の技術や構造を活かしながら、新たな製品や用途の開発にも積極的に取り組んでいます。
また、日本国内外のデザイナー、アーティスト、建築家との数多くのコラボレーションを通じて、この伝統技術を15か国以上へ発信してきました。2012年にTCI Laboratoryプロジェクトを立ち上げて以来、伝統工芸や中小企業の海外展開および市場開拓支援にも尽力しており、これまでに800を超える企業や職人の国際展開を支援するとともに、伝統技術や知識の継承活動にも継続して取り組んでいます。
岡本織物株式会社 西陣岡本 – 専務取締役
岡本 絵麻
札幌北部地域の出身である岡本絵麻氏は、テキスタイルデザインを専攻した後、夫の曽祖父によって創業された百年の歴史を持つ岡本織物の工房に加わりました。1909年に創業され、日本全国の寺院や神社向けに高級織物「金襴」の製織を専門とする同社において、彼女はデザイン責任者としてキャリアをスタートさせ、その後、経営の中核を担う立場へと進んでいきました。
伝統的な織機の減少、原材料費の高騰、国内需要の縮小といった課題に直面しながらも、岡本織物は技術の研鑽を続け、新たなコラボレーションを通じて伝統と織物の未来をつなぐ取り組みを進めています。高度な技術と上質な絹の品質に加え、遠い文化や美意識から着想を得た新たな意匠の探求を組み合わせながら、同氏はこの織物の技術をラグジュアリー建築やインテリアデザインの領域へと広げ、日本国内外にその価値を発信しています。
LVMH メティエダールジャパン ディレクター、LVMH ジャパン コーポレートアフェアーズ ディレクター
盛岡 笑奈
現在、LVMH メティエダールジャパン ディレクター/LVMH ジャパン コーポレートアフェアーズ ディレクターを務める盛岡笑奈氏は、2011年にLVMHへ入社。LVMH ウォッチ・ジュエリー部門にて、高級時計ブランド「タグ・ホイヤー ジャパン」のマーケティングおよびコミュニケーションを担当した後、パリ本社経営戦略部へ異動しました。2022年には、卓越した職人のノウハウの継承と発展を掲げる LVMH メティエ ダールの日本支部設立とともにディレクターに就任。日本各地の優れたものづくりの潜在力を発揮し、伝統と革新の対話を通じて卓越したクラフツマンシップの活性化に取り組むとともに、職人に対する持続性のある事業の開拓と展開を推進しています。
元京都府与謝野町長(3期)、元与謝野町議会議員(1期)
山添 藤真
フランス国立建築大学パリ・マラケ校にて建築を学んだ後、山添藤真氏はフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)にて、フレデリック・ネフ教授に師事し、形而上学を専攻しました。在仏中には、丹後地方の絹織物(ちりめん)の技術をテーマとしたパリおよびブリュッセルでの展示会において通訳を務めました。
2009年に帰国後は、尾崎行雄記念財団・咢堂塾を経て、2010年の与謝野町議会議員選挙で最多得票により初当選しました。2014年には32歳で与謝野町長に就任し、当時全国最年少の町長として注目を集めました。その後、3期12年にわたり町政を主導するとともに、第2代全国若手町村長会会長も歴任しました。
京都大学大学院教育学研究科教
佐野 真由子
京都大学大学院教育学研究科教授の佐野真由子氏は、東京大学教養学部卒業後、ケンブリッジ大学MPhil課程を修了し、東京大学より博士号を取得。国際交流基金、UNESCO勤務を経て、静岡文化芸術大学准教授、国際日本文化研究センター准教授等を歴任し、2018年より現職を務めています。
また、多様な分野の研究者と実務者で構成する「万博学研究会」(2010年〜)および「新しい文化政策プロジェクト」(2019年〜)を創設し、代表として活動を継続しています。主な著書に『オールコックの江戸』(2003年)、『幕末外交儀礼の研究』(2016年)、『万博学』(編著、2020年)などがあります。さらに、2025年日本国際博覧会協会理事、2025年日本国際博覧会成果検証委員会委員、京都文化財団評議員等も務めています。
本イベントのパートナーになりませんか?
2026年6月18日に開催される本イベントの広報効果や、主催団体のネットワークを通じて、伝統工芸への支援や日仏交流への取り組みを広く発信しませんか?
ご支援・広報協力・プレゼンテーションなど、さまざまな形でのご参加が可能です。
詳細は、関西日仏学館のアドレス(info@ifjk.jp)にお問い合わせください。
共催:在日フランス商工会議所
協賛: Veuve Clicquot, Mouton Cadet, CoeFont(翻訳)
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