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第3回「哲学の夕べ」- 生きた貨幣

第3回「哲学の夕べ」- 生きた貨幣

日程

2015年5月30日(土)

時間

14時~23時

会場

東京日仏学院

入場

無料

第3回となる2015年は「生きた貨幣」がメインテーマです。経済、価値の評価や価値の交換、お金という存在について、フランスや日本のアーティストや思想家と一緒に、アートを通じて思考を巡らせます。  アンスティチュ・フ ランセ東京の敷地内を回遊するようにお楽しみいただけるよう、講演会、アトリエ、映画上映、パフォーマンス、コンサートなど、多様な企画を盛りだくさんご用意しています。普段、哲学に触れる機会が少ない方も、少し見る目が変わるきっかけになるかも知れません。このイベントで哲学を(再)発見しましょう!

 

プログラム


上映会

  • 映画上映:ロベール・ブレッソン『ラルジャン』
    14:00 – 15:30 |
    エスパス・イマージュ

 『ラルジャン』 監督:ロベール・ブレッソン (1982年/83分/フランス、スイス/35mm/日本語字幕付)

友人にそそのかされたブルジョワ少年は写真店でニセ札を使った。そして、最後にそのニセ札をつかまされたのは、燃料店の店員イヴォン。慎ましくも真面目に暮らしていたイヴォンの転落はこの偶然から始まった…。職を失い、追い詰められるイヴォン。悪い仲間に関わり犯罪に手を染めるように…3年の実刑の間、愛娘が病死し、妻も離れていった。無事に刑期を終え、出所したが、イヴォンの転落はまだ終わらなかった…。トルストイの中編小説を原作とした本作は、ブレッソンの遺作であり、ブレッソンは本作により第36回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した。

 


講演会・鼎談

  • 中沢新一による講演「増殖的理性批判序説」
    15:30 – 16:30 | エスパス・イマージュ
    (使用言語:日本語)

人類の脳は増殖的理性の獲得をめざして進化をとげてきた。この進化は現生人類において決定的な飛躍を実現した。脳のニューロン組織の内部に、異なる領域のパルス同士を「同じもの」と認識して、重ね合わせる能力が発生した。これによって、それまでにすでに実現されていた言語のシンタグマ軸にパラディグマ軸が交わるようになり、喩的な構造がつくられた。これによって、意味増殖が可能になった。こうして、増殖を本質とする現生人類の心的構造が生まれた。この瞬間から、人類は芸術と宗教をもつこととなった。脳にはたえまなく増殖的な意味発生が起こり、価値そのものが増殖性を含むものとなる。現生人類の理性は増殖性を本性とする。この増殖的理性から増殖する貨幣価値である資本が生まれる。この資本と連動して、増殖的イメージが無際限に生産される。二十一世紀に求められる「理性批判」は、この理性の増殖性をめぐるものとなる。

 

  • ペーター・サンディによる講演「アイコノミーと視線」
    17:00 – 18:00 / エスパス・イマージュ
    (同時通訳付)

「私たちの必要に答えて、遠隔地から私たちの住まいに供給される水やガス、電気のように(中略)、映像が供給される日がくるだろう。」ポール・ヴァレリーのこの言葉は、大量の「アイコノミー(iconomie)」に私たちの視線を釘づけにする現代の映像市場を予告しているといえます。ヴァレリーのこの言葉を引きながら、ヴァルター・ベンヤミンは、映画を出発点に、映像に囚われた私たちの視線の系統学に着手しました。その思想を踏襲し、エスカレーターからアイ・トラッキング技術まで、映画を観る時のような視線の動きをさせる下部構造に注目します。

 

ペーター・サンディはパリ第10=ナンテール大学の哲学科の助教授。音楽学専門家として音楽博物館のプログラムの顧問も務める。プリンストン大学とブラウン大学の客員教授を務め、1998年から2005年まで、ストラスブール第2=マルク・ブロック大学の音楽学科でも教鞭をとった。また、1996年から2001年まで、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)の出版物の主任編集者も務めた。

 

  • 中沢新一、ペーター・サンディと廣瀬純による鼎談「生きた貨幣」
    18:30 – 20:00 / エスパス・イマージュ
    (同時通訳付)

「カネはどこだ!」――ロベール・ブレッソン『ラルジャン』の少年が発するこの叫びに答えるかのように、ピエール・クロソウスキーは『生きた貨幣』(1970)を次の一文で結んでいる。「産業奴隷は自分の身体的存在とそれが生むカネとを密接に関係づける、あるいは、自分自身がカネとなり、カネの機能にとって代わる」。ジル・ドゥルーズが『時間イメージ』(1985)で次のように書くときに問題となっていたのも、身体のこの同じ二重性ではなかったか。「映画がその表面で映像を示しモンタージュしているのだとすれば、カネこそがそうしたすべての映像の裏面をなしている」。映像=カネ。中沢新一、ペーター・サンディ、廣瀬純とともに考える。

 

廣瀬純 1971年、東京生まれ。映画批評、現代思想。龍谷大学経営学部准教授。アンスティチュ・フランセ東京にて映画の授業を担当。

 

関連企画

  • ディスカッション「傾聴のアナトミー」
    ペーター・サンディ×西野嘉章(東京大学総合研究博物館館長)× 大澤啓(東京大学総合研究博物館特任研究員)
    529日(金)18時~1930 / インターメディアテク(IMT
    東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー/KITTE 2・3階

お問い合わせ: http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0067

 

哲学のアトリエ

  • 哲学のアトリエ「通貨と猿:マネー・ゲーム」
    講師:トリスタン・ブリュネ(使用言語:日本語・フランス語)
    16:30 – 18:30 / メディアテーク

お金は何を測るのか?お金は何の価値があるのか?通貨とは何か?そして私たちの人生でお金が占める位置について、どのような教訓を引き出すことができるのか? このマネー・ゲームで賭けられているものを理解するために、私たちはそのルールに言及した、アダム・スミス、カール・マルクス、その他の経済理論家、そしてフェルナン・ブローデルといった知識人たちの思想を参照しながら考察します。特にフェルナン・ブローデルの思想とともに、マネー・ゲームが、資本主義と呼ばれるこのいかさまを可能にしているのではないか、と問いかけることになるでしょう。

中沢新一

1950年、山梨県生まれ。明治大学野生の科学研究所所長。著作に『純粋な自然の贈与』『緑の資本論』『日本文学の大地』他多数。

ペーター・サンディ

ペーター・サンディはパリ第10=ナンテール大学の哲学科の助教授。音楽学専門家として音楽博物館のプログラムの顧問も務める。プリンストン大学とブラウン大学の客員教授を務め、1998年から2005年まで、ストラスブール第2=マルク・ブロック大学の音楽学科でも教鞭をとった。また、1996年から2001年まで、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)の出版物の主任編集者も務めた。

廣瀬純

1971年、東京生まれ。映画批評、現代思想。龍谷大学経営学部准教授。アンスティチュ・フランセ東京にて映画の授業を担当。

トリスタン・ブリュネ

パリ第七(パリ・ディドロ)大学博士課程。アンスティチュ・フランセ東京、白百合女子大学非常勤講師。

パフォーマンス

  • 落語
    (使用言語:日本語)
    16:30 – 17:00 / ラ・ブラスリー

「上方落語界のアンパンマン」、林家染太が、お金にまつわる落語の噺を披露します。

 

林家染太 学生時代から落語研究会に所属して、卒業後の2000年4月、4代目林家染丸に入門。 古典落語に加え、英語・スペイン語落語での海外公演も行っている。2014年7月、世界最大演劇祭、フランス「アヴィニョン・フェスティバル」に参加。特技は津軽三味線、南京玉すだれ、紙切りなど。 

 

  • 東京ELECTROCK STAIRSダンス・ショーケース
    #1 : 16:00 – 16:15 (中庭)
    #2 : 18:15 – 18:30
    (ギャラリー)
    #3 : 19:30 – 19:45
    301教室テラス)
    #4 : 20:00 – 20:30
    (野外ステージ)

KENTARO!!と東京ELECTROCK STAIRSのダンサーが、「生きた貨幣」としての身体を探究します。中庭、ギャラリーといったさまざまな場所で、複数回にわたり、ソロ、デュオ、グループによるダンス・パフォーマンスが繰り広げられます。音楽や空間、観客や周りの環境をしなやかに取り組むダンスは、独創的で情熱に溢れています。身体や視線、エネルギーが交じり合う、ライブパフォーマンスをお楽しみください。

 

振付・音楽・出演:KENTARO!!
出演:横山彰乃、服部未来、泊麻衣子

 

 

展示会

  • グレゴリー・シャトンスキー「一緒にダンスを」
    14:00 – 23 :00 / 中庭

リアルタイムのアメリカの株式相場と結びつけられた画面で、往年のハリウッドのミュージカル俳優フレッド・アステアが経済のリズムに合わせて踊ります。株の値が変動すればするほど、彼の動きはスムーズになります。 映像は、『踊らん哉(Shall We Dance)』(1937年)でアステアが蒸気機械の動きに合わせて踊るシーンを使用しています。

コンセプション:グレゴリー・シャトンスキー ソフトウェア:ヴァディム・ベルナール

 

  • グレゴリー・シャトンスキー「67の音符」
    14:00 – 23:00 / ギャラリー

67の文字と数字から成るビットコインが更新されるのと同時に音楽が制作される。

 

  • グレゴリー・シャトンスキー、ドミニク・シロワ「ミメーシス・トリニティ:エマ」
    14:00 – 23:00 / ホール

マルコフ連鎖を適用するソフトウェアが自動的にミックスした、フローベールの『ボヴァリー夫人』と経済学者アンドレ・オルレアンの文章の組み合わせからなるテキストを、女性の登場人物が朗読します。19世紀のブルジョワ消費社会の出現と、現代の経済の投機行為における自己参照性とが奇妙に反響し合います。

 

コンセプション:グレゴリー・シャトンスキー|HDビデオ (22:46)|ドミニク・シロワとのコラボレーション|ボイスオーバー:アデリーヌ・モロー|音楽:オリヴィエ・アラリ|研究プログラム:CRSH

 

 

音楽

  • ライブ:シャソル
    21:00 – 22:30 / エスパス・イマージュ

クリストフ・シャソルは、現実、世界、彼が出会うもの全て、彼に語りかけるもの全てを調和させて音楽を奏でることを目指しています。現実の一つのイメージから出発し、イメージが音を生み出す時に、それを捉え、編集して自らの音楽世界を作り上げます。 シャソルはイメージを複製して繰り返し、モンタージュにし、リズミカルで視覚的なモチーフを作り出します。こうして生み出される音を調和させ、映画的かつ音楽的な作品を制作します。その成果は、「ウルトラスコア(ultrascore)」と名付けられた3部作となりました。 4枚目のアルバムとなる「ビッグ・サン(Big Sun)」で、クリストフ・シャソルは、ニューオーリンズで始まり(「ノラ・シェリ(Nola Chérie)」、2011年)、インドで続けられた(「インディアモア(Indiamore)」、2013年)、一連の3部作の最後を、彼の出身地であるアンティル諸島で締めくくります。マルティニークの街の音、人々の声、リズムを録音し、編集、モンタージュ、アサンブラージュを経て、70分にわたる27の作品が生み出されました。

 

 

特別企画

 

「ガチャガチャ -新しい価値の創造について考える」

第3回「哲学の夕べ」の会場に、「ガチャガチャ」を設置します。ガチャガチャに入っているものは、みなさまからお持ちいただくオブジェです。お持ちいただくオブジェは、直径75ミリのカプセルに入る大きさのものであればなんでもかまいません。


カプセルには、オブジェと一緒に、オブジェのタイトル(題名)や使用法や思い出などを書いた紙を入れてください。
身の回りにあるような、とるに足らないオブジェに、新しい価値を付加してご提供ください。オブジェの入ったカプセルは、1個100円で、「哲学の夕べ」の会場でどなたでも購入することができます。第3回「哲学の夕べ」のテーマ「生きた貨幣」にちなんだ、価値の創造について思考をめぐらせるプロジェクトです。

 

詳しい参加方法はこちら(PDFをご覧ください。

Chassol

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